1999 Fiscal Year Annual Research Report
世界所得分布の歴史的変遷に関する研究-アジア諸国の役割を中心に-
Project/Area Number |
11630079
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
杉原 薫 大阪大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (60117950)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池本 幸生 東京大学, 東洋文化研究所, 助教授 (20222911)
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Keywords | 所得分配 / ジニ係数 / タイル指数 / アジア経済史 / 世界経済史 / 地域間格差 |
Research Abstract |
杉原は、12月にジョンズ・ホプキンス大学で開催された国際会議で、"The East Asian Path of Economic Decelopment:A Long-term Perspective"と題する報告を行い、その中で、1870年、1950年、1990年の三時点での世界ローレンツ曲線の暫定的な計算結果を報告した。1870-1950年には世界の所得格差は拡大したが、1950-1990年には拡大傾向がストップしたこと、その最大の要因が東アジアの高度成長だったことを主張した。第二次大戦後の世界所得格差が一貫して拡大したかどうか、購買力評価による比較にはどのような問題があるかなどについて議論し、専門家からコメントを受けた。またこれに関する啓蒙的な小文を日本語で発表した(11.研究発表参照)。 池本は、マディソン教授の関連データを入力し、1870-1990年における10年ごとのジニ係数の変化を計算した。また、タイル指数を用いてアジアの地域間格差を計算し、いくつかの興味深い事実を発見した。たとえば1870年から1950にかけての、アジア域内の所得格差の変化をある程度明らかにすることができた。これらの成果を公表するのが来年度の課題である。 来年度も、引き続きデータの計算と解釈の相互往復を繰り返す予定である。杉原は、2000年6月にボストンで開催されるWorld History Associationの年次大会と8月にオスロで開かれる国際歴史学会議で、成果を報告する。4月から始まる学期に池本が阪大大学院の非常勤講師としてこのテーマを講義する予定なので、両名の研究上の打ち合わせも、つめて行いたいと思っている。
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