2000 Fiscal Year Annual Research Report
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11630082
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Research Institution | Tokyo Metroplitan University |
Principal Investigator |
山崎 志郎 東京都立大学, 経済学部, 教授 (10202376)
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Keywords | 物資動員計画 / 物資需給計画 / 配船計画 / 造船業 / 国民更生金庫 / 企業整備 / 資材配給 / 公団 |
Research Abstract |
第一に、平成12年度から都立大で預かることになった閉鎖機関関係資料の整理、分析を行った。当該資料は、配給統制、植民地開発に関わった重要政策実施機関であり、戦後は独占禁止法、民主化政策に抵触するなどの理由によって、GHQから閉鎖命令を受けた閉鎖機関の経営内部文書である。この中には大東亜圏貿易を一手に担った交易営団、植民地開発会社である南満州鉄道、満州重工業、東洋拓殖会社等、米穀の一元的配給機関である食糧営団、水産加工品の統制を担った中央水産業会、石炭の一手買取配給機関の日本石炭、軍需関係金融を担った戦時金融金庫、企業整備を担当した国民更生金庫などが含まれている。その分量は木箱4,000箱に上る膨大であるため全体像の解明には今後相当の時間が要するが、重要国策機関でありながら、研究史もほとんどない重要研究対象に関して新たな実証水準を築く足がかりをつかむことができた。第一着手として国民更生金庫を選び、民需関連中小商業の企業整理実態を分析した。太平洋戦争期の原材料、労働力不足等から経営の継続が困難となり企業資産を処分した70数万件の企業整備の実態を、企業整備の対象産業の変化、企業整備進捗状況、資産買上げ・処分・精算に至る一連の手続、転業支援の資金貸出態等の観点から明らかにした。これらは平成13年度秋に学会での報告を予定している。 第二に、太平洋戦争後半期に海上輸送力を基礎に組み立てられていた経済総動員諸計画に関する未公表一次資料を収集・整理・分析し、解説論文を付して資料集を編纂した。 第三に、戦後復興期の資源配分政策の展開を戦後の統制解除期まで分析した。戦時総動員政策として開発された資源配分政策とその下で配給機構が、経済の民主化、独占禁止・分権化政策に沿って改編され、短期間ではあるが、戦後的配給統制機構に転換したうえで機能していたことを明らかにした。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 山崎志郎: "太平洋戦争後半期の物資動員計画"原朗・山崎志郎編『後期物資動員計画資料』所収. (2001)
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[Publications] 山崎志郎: "物資需給計画と配給機構の再編"原朗編『復興期の日本経済』. (2001)
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[Publications] 山崎志郎,原朗編: "戦時経済総動員関係資料 第5期 後期物資動員計画資料"現代史料出版. (2001)