1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11630083
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Research Institution | Shimonoseki City University |
Principal Investigator |
櫻木 晋一 下関市立大学, 経済学部, 教授 (00259681)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 圭一 東京大学, 史料編纂所, 助手 (50251476)
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Keywords | 模鋳銭 / ICP-AES法 / 地域流通圏 |
Research Abstract |
櫻木は、九州・沖縄各県教育庁等の埋蔵文化財担当者を訪ね、考古史料の一つである銭貨の出土状況を調査した。しかし、この数年は中世遺跡の発掘事例が増加しておらず,新出でまとまつた良好な出土銭貨資料の発見には至らなかった。成果としては、博多遺跡群から萬暦通宝、無文銭など地域的特質を有する銭貨を確認できたことと、大分市で大友氏関連の府内から北九州市小倉と同様の鉛分の多い銭貨を確認できたことなどがある。近世遺跡出土の銭貨からも中世的特色をうかがえる資料が存在するので、今後も一層資料の収集に努める。また、岩手県立博物館赤沼英男氏の協力を得て、銭貨に含有される微量元素定量法とその修復方法に関する、迅速分析を目的とした文化財科学的方法論の確立を計った。併せて、肉眼観察により、中国の公鋳銭、私鋳銭、および日本の模鋳銭に分類された主として15〜16世紀代に比定される銭貨約30点の金属考古学的解析を行い、主成分と微量元素による組成分類を行った。今後も出土状況が明確で、形式学的研究がなされた資料について金属考古学的調査を実施し、組成分類と形式分類の相関関係を検討のうえ、基準データの蓄積を計る予定である。 中島は、写真等の形で資料編纂所に蓄積された九州地方の中世史料を検索し、銭貨の通用と生産に関わるものの検出に努めた。また、未撮影の史料の収集にも努め、佐賀県立名護屋城博物館・福岡市博物館などに出張して、所蔵史料の撮影を行った。
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