近世-近代日本農民の消費生活の比較研究-下総の寄生地主平山家と村方地主鏑木家-

1999 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 11630084
• Research Institution: Ryutsu Keizai University
• Principal Investigator: 井奥 成彦 流通経済大学, 経済学部, 教授 (60184371)
• Keywords: 鏑木家 / 平山家 / 金銭出納帳 / 消費生活 / 近世 / 近代 / 村方地主 / 寄生地主

Research Abstract

平成11年度の研究の主たる内容は、鏑木家・平山家の既撮影史料の分析と末撮影史料の撮影であり、それに加えて、比較の意味で、他の地主の史料調査も行った。
まず鏑木家・平山家の既撮影史料の分析についてであるが、鏑木家の金銭出納帳を嘉永6(1853)年から明治45(1912)年にかけて約10年おきに計6冊分析し、各年の収入構造、支出構造を明らかにし、消費生活の内容を再構成して、その推移を追った。そして幕末・維新期については、平山家の「書出帳」の分析を通してその消費生活をも明らかにし、鏑木家との比較を行った。その結果、近世から近代にかけての農民生活の変化は、明治維新といった政治的画期よりもむしろ、日清戦争・日露戦争といった、近代に入ってからの国家的戦争の方が、豚肉や牛乳の購入など生活の西洋化という意味で大きな画期となっているらしいことがわかった。それまでの生活の変化は、西洋化というよりは、白砂糖を購入するようになったり屋根瓦を用いるようになったりといった、日本的な枠内での生活の向上というべき変化であったと言える。これらのことについては、「近世-近代村方地主の消費生活 -下総国香取郡鏑木村鏑木治郎兵衛家を素材として-」と題して『千葉県史研究』第8号に「研究ノート」として投稿し、掲載が決定された。
また未撮影史料の撮影については、鏑木家の幕末期の日記帳、明治期の金銭出納帳の撮影を中心に行った。