1999 Fiscal Year Annual Research Report
情報の非対称性のもとでの中央政府補助金システムに関する研究-フライペーパー効果・ファンジビリティー仮説に焦点を当てて-
Project/Area Number |
11630098
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
永田 健一 広島大学, 教育学部, 助教授 (00157497)
|
Keywords | 情報の非対称性 / 誘因両立性 / 中央政府補助金 / 地方政府 / 定率補助金 / 定額補助金 / 非線形補助金 |
Research Abstract |
Levaggi,R.(1991)において展開された、中央政府が地方政府の選好についての不完全な情報しかもたないケースにおいて、補助金支出を通じて望ましいと考える地方財政支出を誘導するためのメカニズムをモデルを用いて考察した。Levaagi(1991)では、地方政府に真の選好を表明させるための誘引メカニズムの具体的な形は示されていないが、本研究ではその具体的な形態を考察した。公共支出に対する選好の弱い方から順に第1〜第3タイプの3タイプの地方政府が存在するものとする。中央政府は地方政府からその選好がいずれのタイプに属するかを申告させ、申告されたタイプに基づいて異なった補助率で公共財供給に対する補助を行う。このとき以下の補助金システムのもとで、地方政府にとって誘引整合的で、かつ最小の補助金支出で一定単位αを下回らない地方公共支出を実現することができるという結論を得た。(1)第1タイプの地方政府に対しては、αの公共財供給を実現する水準に補助率を設定し、かつ負の定額補助金Rを適用して補助金交付前の効用水準を維持する。αを上回る公共支出に対する補助率は、公共財価格が公共財供給量αにおける第2タイプの地方政府の限界代替率を下回らない水準に定める。(2)第2タイプの地方政府に対する補助金交付後の公共財価格は、第1タイプと同一の負の定額補助金Rのもとで、予算線が第1タイプの地方政府にとっての均衡点(α,y_1^*)を通る無差別曲線とちょうど接する水準に設定する。この予算線上の均衡点x_2^*を上回る公共支出に対する補助率は、公共財価格がx_2^*における第3タイプの地方政府の限界代替率を下回らない水準に定める。(3)第3タイプの地方政府の公共財供給に対する補助金交付後の公共財価格は、第1・第2タイプと同一の負の定額補助金Rのもとでの予算線が、第2タイプの地方政府にとっての均衡点x_2^*を通る無差別曲線とちょうど接する水準に設定する。
|