1999 Fiscal Year Annual Research Report
ニクソン、レーガン、クリントン政権期における連邦補助金改革の実証的研究
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11630100
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Research Institution | Tokyo Keizai University |
Principal Investigator |
岡本 英男 東京経済大学, 経済学部, 教授 (40133920)
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Keywords | 新連邦主義 / 特定歳入分与 / ブロック補助金 / 目的別補助金 / 特定補助金 / 利益集団 / コミュニティ開発 / コミュニティ開発 |
Research Abstract |
本年度は、ニクソン新連邦主義構想の中心政策である特定歳入分与提案がどのように実行されたかについて研究した。特別歳入分与提案とは、都市コミュニティ、農村コミュニティ、教育、マンパワー訓練、法律執行、運輸に関わる129件もの目的別補助金を、6件の「特別歳入分与」に統合するという大掛かりなものであった。しかし、このうちブロック補助金化に成功したのは、都市コミュニティと職業訓練の分野のみであった。 統合失敗の原因を明らかにするために、教育と農村開発の2つの事例研究をおこなった。教育補助金における統合失敗の最大の要因は、教育者を中心とした利益集団が特定補助金を強く擁護し、その要求に民主党が支配する下院教育・労働委員会、上院労働・公共福祉委員会が応えたためであった。農村コミュニティ開発特別歳入分与に対する利益集団と議会委員会の対応も教育歳入分与提案のばあいとほぼ同様のものであった。特定補助金擁護の基本的な論理は、どちらのぱあいも「特定補助金システムは現実には、地域によるコントロールを強化している」というものであった。それに対して、コミュニティ開発と職業訓練の分野で統合が成功したのは、統合の対象となった既存のプログラムに対して多くの人が幻滅していたこと、地方のマイノリティ集団やコミュニティ集団の孤立、各都市市長の影響力の拡大によるところが大きい。 本年度の研究の結果、ニクソンのブロック補助金化政策の成功・失敗の行く末は、統合の対象となった補助金の過去の実績、個別補助金を取り巻く利益集団のあり方によって強く規定されていることがより明瞭になった。
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