2000 Fiscal Year Annual Research Report
デリバリー・プロセスにかかわるスクリプトの学習と共有が顧客満足に及ぼす影響
Project/Area Number |
11630110
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
藤村 和宏 香川大学, 経済学部, 助教授 (60229036)
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Keywords | スクリプト / 顧客満足 / クリティカルパス |
Research Abstract |
サービス消費では、顧客もデリバリー・プロセスに参加し、他の参加者と協働しなければならない。参加と協働における顧客の行動は彼がデリバリー・プロセスに関して保有するスクリプトに基づくことから、顧客が他の参加の保有するスクリプトと共通性の高いものを保有しているかどうかが、顧客満足に重大な影響を及ぼすと考えられる。すなわち、顧客が共通性の高いスクリプトを保有している場合には、デリバリーは効果的且つ効率的に展開されるために、顧客満足は高くなる。逆に、共通性が低い場合には、デリバリーの中断やトラブル発生のために、顧客満足は低くなる。 本年度は、スクリプトの機能とそれの顧客満足に及ぼす影響を明らかにするために、病院とレストランにおいて量的調査を実施した。病院での調査では、明示的なスクリプトとしてそれと同様な機能を持つと考えられる「クリティカルパス」を用いた患者と用いなかった患者間で、満足度とその構造、デリバリープロセスに対する評価の比較を行った。その結果、スクリプトは理論的に導かれる三つの機能、すなわち「台本機能」・「評価基準機能」「予測性向上機能」を保有していることが推測された。しかし、満足度はクリティカルパスを用いた患者の方が高かったが、統計的に有意差は見られなかった。 レストランでの調査では、メニューや従業員の行動に関する情報を提示した場合としなかった場合で、満足度や評価がどのように異なるのかを分析した。しかし、病院における調査ほど有意な差異は見られなかった。 以上のことから、参加者間でのスクリプトの共有は顧客満足にポジティブな影響を及ぼすが、サービスでもその利用頻度によってスクリプトの学習・共有度が異なるので、人為的にスクリプトを提示することの効果は異なることが明らかになった。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 藤村和宏: "サービス消費における不満の発生と抑制される苦情行動"マーケティング・ジャーナル. 第20巻2号. 25-38 (2000)
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[Publications] 高嶋克義: "日本型マーケティング"千倉書房. 284 (2000)
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[Publications] 長谷川敏彦: "アウトカム・マネジメントの理論と実践"ビイング・ネット・プレス. 200 (2001)