2000 Fiscal Year Annual Research Report
製品評価・選択過程における複数種類の手がかりの情報処理過程の追跡
Project/Area Number |
11630115
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
山本 昭二 関西学院大学, 商学部, 教授 (80220466)
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Keywords | 意思決定過程 / 適応的意思決定 / 意思決定方略 / 選択過程 / ビジュアル情報 / 知識 / ヒューリスティクス / 関与 |
Research Abstract |
消費者の意思決定過程における、情報取得の過程と選択(choice)もしくは判断(judge)の間の関係を明示的に明らかにするために、種々の実験を実施した。まず、1年目には、予備的な実験を数回繰り返して、選択と判断の間での消費者の製品選択にどの様な違いが起こるのかを集中的に検討した。 その結果、関与水準の低い被験者の選択行動において選択と判断の間で食い違いが発生する確率が高まることがある程度実証された。このことによって本実験に望むに当たって、この問題を合理的に調整する必要性に迫られた。また、当初考えていたWeb上での反応実験では、回線やサーバーの混み具合によって反応時間を正確に計測できないことも分かってきた。 こうした実験結果を踏まえて2年目には二つの課題を解決することを目指した。まず、選択実験と判断実験を混合させることで、消費者が対象となるブランドを購買する過程に違いが出ることを明示的に示すこと。特に、外在的手がかりと内在的手がかりの利用に明確な違いがあることを検討できる実験を構築した。次に、反応時間の違いを明らかにするためにクライアント側での実行とその結果をサーバー側で監視して、情報をリアルタイムに収集できるシステムの構築へと実験の方法を変更した。 後者の変更は、当初の研究案からの大きな変更であり、システムの構築にはかなりの時間を要した。その結果として、本実験の回数を少なくせざるを得なくなった。これらの実験から明らかになったことは、関与水準の計測に使われた尺度の再検討の必要性と消費者の対象製品クラスへの知識によって意思決定に関わる処理時間が変化することである。 ただし、選択実験と判断実験との差を説明できるかどうかは、これらの要因の複合によって明確な差を見いだすには至らなかった。この点は、現在のシステムを使って継続的に検討することが可能であり、課題として残された。
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