2000 Fiscal Year Annual Research Report
資本市場からの短期収益圧力が経営意思決定に与える影響の日英比較分析
Project/Area Number |
11630118
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
金崎 芳輔 東北大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (30204572)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
若林 直樹 東北大学, 大学院・経済学研究科, 助教授 (80242155)
山本 昌弘 明治大学, 商学部, 教授 (10261489)
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Keywords | 資本市場 / 短期収益圧力 / MBO / 子会社 / 倒産 / 国際会計基準 |
Research Abstract |
平成12年度は、研究グループ全員で、わが国初めての独立系MBO(Management Buy Out)ファンドであるユニゾン・キャピタル株式会社の代表取締役パートナー佐山展生氏に対して、日本におけるMBOの特徴を調査するインタビューを行い、得られた知見を整理した。MBOとは、現経営陣が自分たちの資金にMBOファンドからの資金および銀行からの融資による資金を合わせて企業を買収するものである。買収の目的は、買収後に企業経営を改善し企業価値を高め、5年後を目途に株式公開して利益を得る、というものである。MBOは強く資本市場を意識した経営戦略である。 インタビューの結果、日本におけるMBOの特徴は、(1)大企業の子会社を対象に友好的になされる、(2)対象となる産業は安定したキャッシュ・フローを得られる成熟産業である、ということがわかった。このようなMBOが可能となった背景に大企業が子会社を持ち続ける人事的な意味と会計的な意味が失われたことが上げられる。MBOによって経営と業績を改善できる理由として、(1)親会社による官僚的な管理の非効率の排除、(2)経営陣が株主となることによる強い経営改善へのインセンティブ、を上げることができる。これは従来日本にはなかったビジネス・モデルである。 各人の分担部分について、金崎は資本市場からの圧力が強く表れる倒産の研究を継続。山本は国際会計基準が日本の経営に与える影響の研究と早期に国際会計基準を採用した企業とそうでない企業を比較する実証研究を行った。若林は、通信事業における国際間の提携を決定する環境的・組織的要因を研究した。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 金崎芳輔,石川明男: "企業倒産の判別分析と倒産確率の推定"証券アナリストジャーナル. 第38巻・第3号. 87-101 (2000)
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[Publications] 山本昌弘: "移転価格税制とは何か-求められる国際税務戦略-"経理情報. 第926号. 8-12 (2000)
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[Publications] 山本昌弘: "投資事後監査と管理会計-英国における論争を中心に-"明治大学経理研究所『経理知識』. 第79号. 73-85 (2000)
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[Publications] 山本昌弘: "多変量解析モデルによる会計国際的調和化の分析"会計. 第158巻・第5号. 663-675 (2000)
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[Publications] 山本昌弘,山下洋史: "多変量解析モデルによるバブル期の財務データ分析"明治大学社会科学研究所紀要. 第39巻・第2号. 287-303 (2001)
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[Publications] 山本昌弘,山下洋史: "トランスナショナル企業の管理会計"関西学院大学商学研究会『商学論究』. 第48巻・第4号. 45-60 (2001)
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[Publications] 山本昌弘: "国際会計の教室-IASがビジネスを変える-"PHP研究所. 220 (2001)