2000 Fiscal Year Annual Research Report
コーポレート・ガバナンスの現代的特質と課題:日本型ガバナンスの探究
Project/Area Number |
11630124
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
櫻井 克彦 名古屋大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (30022461)
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Keywords | コーポレート・ガバナンス / ステークホルダー・アプローチ / 株主価値原理 |
Research Abstract |
本研究の狙いはコーポレート・ガバナンスの今後の展開について考察するとともに、その結果に基づいて日本型コーポレート・ガバナンスの主張可能性の如何を論ずることにある。コーポレート・ガバナンスをめぐる理論と経営実践における今日的動向についての前年度の検討結果を参考に、本年度は、企業に対するステークホルダー・アプローチの視点からコーポレート・ガバナンスと経営管理を眺めつつ、今日の社会経済でのコーポレート・ガバナンスの本質的動向の把握と日本型コーポレート・ガバナンスの位置づけとのための基礎固めを行った。主要な成果は以下の3点である。 第1は、現代の企業におけるガバナンスとマネジメントを適切に理解するためには、企業に対するステークホルダー・アプローチが基本的に重要であることを、「企業と社会」論の主要文献の検討のうちに明らかにしたことである。 第2は、コーポレート・ガバナンスをステークホルダー・アプローチに基づいて論ずる場合でも、株主を第1次的ステークホルダーとみる主流的立場から、多元的ステークホルダーによるコーポレート・ガバナンスへの参加を主張する見方にわたるさまざまなものが存在することを確認したことである。 第3は、コーポレート・ガバナンスの本質的動向をどのように解するかは、根本的には、今日の企業指導原理をどう理解するかに、とりわけ株主価値原理をどう評価するかに掛かっていることを認識したことであり、また、日本型コーポレート・ガバナンスについての論議もこうした認識に基礎づけられるべきことを把握したことである。 これらの成果の一端を雑誌論文に発表するとともに、学会報告へのコメンテーター見解(経営行動研究学会第7回中部部会、中京学院大学、平成12年12月)の形で明らかにした。
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Research Products
(1 results)