2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11630131
|
Research Institution | Tohoku Gakuin University |
Principal Investigator |
小林 裕 東北学院大学, 教養学部, 教授 (60170362)
|
Keywords | 人的資源管理 / 公正 / 組織コミットメント / ハイ・インボルブメントモデル / 組織の公正 / 組織有効性 / 企業実績 / 日本企業 |
Research Abstract |
1、概念モデルの設定と調査:本研究では、日本企業の人的資源管理(HRM)システムがハイ・インボルブメント(Lawler,1992)な特徴を持ち、それが「組織の公正」(Greenberg,1990)を高め、さらに組織有効性を高める、というモデルを設定した。そして、モデルを検討するため、一次調査として東北地方の企業210社に対して郵送による質問紙調査を実施し、二次調査としてそのうちの35社の従業員を対象とする質問紙調査を実施した。 2、調査の結果:1(1)伝統的な人的資源管理ポリシー(長期的雇用と内部化された技能形成、および技能形成に基づく評価)を持つ企業は必ずしもハイ・インボルブメントな施策をとつていない。しかし、伝統的な人的資源管理ポリシーも、ハイ・インボルブメントなHRMシステムも組織有効性(退職率の低さ)に独自の効果をもたらす。(2)ハイ・インボルブメントなHRMシステムは従業員にとって参加主義的であると認知され、それを通じて従業員の公正知覚を高め、さらには職務満足感・仕事への動機づけ・組織コミットメントを高める。また、わずかながら従業員の職務態度が組織有効性に影響を及ぼす。 3、本研究の意義:本研究で設定されたモデルのうち、日本企業のHRMシステムがハイ・インボルブメントな特徴を持つという点は否定されたが、ハイ・インボルブメントなシステムが「組織の公正」を高め、さらに組織有効性を高める、という点は支持された。この結果は日本という文化・社会的背景のもとでもハイ・インポルブメントなシステムや「組織の公正」アプローチが有効であることを示す一方、いわゆる日本的HRMの有効性のメカニズムをさらに探る必要性を示している。
|