2000 Fiscal Year Annual Research Report
共通費の配分に関する研究-国際化時代のオーバーヘッド・コストの配分-
Project/Area Number |
11630149
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Research Institution | Shiga University |
Principal Investigator |
頼 誠 滋賀大学, 経済学部, 助教授 (70191674)
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Keywords | 共通費 / 公平な配賦 |
Research Abstract |
第一の研究課題は,共通費配分論の全般を鳥瞰することであった。これまで何が問題とされてきたのかを,過去の実証研究・理論的研究をレビューすることにより明らかにした。その際,特に,業績評価目的を前提とした配分に焦点を絞り込み,管理者をコントロールするために,共通費の配分はどうあるべきか,公平性の概念を中心に検討した。いわゆるノーマティブな研究である。その一方で,現実にどういう配分方法がなぜ使用されているのかという研究も重要であることもわかった。これは,ポジティブな研究である。どのような要因が配分方法にどのような影響を与えているかについて,過去に行われた研究結果を基に再解釈してみた。 第二に,配分の必要性や配分方法の受容性に比べ,適応性については研究が遅れているといわれる。環境が変化し,戦略的適応が要請されるようになった時,組織形態が変化した時,管理者に新しい行動を引き起こさせることのできる配分システムを考えたいと思ったが,これについては,まだ,十分に研究できていない。 第三に,間接費配賦の議論の延長上にあるABC/ABMに触れた。本研究では,ABC/ABMが,職能横断的組織の効率化にどのような可能性をもっているかについて若干指摘して今後の展望を行うにとどめた。平成12年度は、文献研究とヒアリングを行った、また、いくつかの企業をヒアリングのため訪問したが、大企業においては、一般的なマネジメントの話ばかりで、会計資料をみせてもらえなかった。その一方中小零細企業では、精緻な共通費・間接費の配賦はやっていないようにもみ受けられる。唯一、好意的な企業である前川製作所について、繰り返し訪問した。分社経営のツールの一つとして共通費の配賦が利用されているが、単純な配賦システムであることが必ずしも悪いとはいえないと筆者は考える。今後、困難が予想されるが、ヒアリングを繰り返し、仮説をたてて、将来的にはアンケート調査も行いたいと考えている。
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[Publications] 頼誠: "管理会計の変化のプロセスに関する研究-Burns & Scapensによる英国企業の事例と分析モデルについて-"彦根論叢. 第327号. 141-157 (2000)
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[Publications] 頼誠: "多国籍企業の国際税務"滋賀大学経済学部研究年報. 第7巻. 119-128 (2000)
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[Publications] 浅田孝幸 代表 編集,第6章を頼が執筆: "『戦略的プランニング。コントロール』の第6章「企業の国際化と本社費・共通費管理」"中央経済社. 16 (1999)
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[Publications] 浅田孝幸 他 編著,第1部第4章,第2部第1章を頼が執筆: "『持ち株会社の理論と実際』(仮称)の「日本企業のカンパニー戦略」「前川製作所の持ち株戦略」"東京経済出版(4月公刊予定). (2001)