2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11630150
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Research Institution | KOBE UNIVERSITY |
Principal Investigator |
岡部 孝好 神戸大学, 経営学研究科, 教授 (60067676)
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Keywords | 会計 / 会計的選択 / 裁量行動 / 国際的調和化 / ビジネス慣行 / 収益操作 |
Research Abstract |
1.研究の経緯と方法:本研究は日本企業における会計的選択行動の特徴をデータ面から明らかにすることを基本目的にしているので、平成11年度と同様、平成12年度でも「会計文献のデータベース」(1990年以降の会計文献タイトルのデータベースで、英文を含む)を拡充するとともに、「会計方針データベース」(1984-1998の上場会社の会計手続き変更データ)を整備した。これらのデータベースには検索エンジンを組み込み、「神戸大学財務会計ラボ」(http://okbhorne.b.kobe.ne.jp/)を通じてインターネット上に広く公開している。このほか、文献研究とフィールド調査を精力的にすすめ、日本企業に特有な会計選択行動を実証的に分析し、ヒヤリング調査によるナマのデータに有価証券報告書データを組み合わせ、新しい視点からリサーチ・デザインを設計した。 2.研究の特徴と成果:グローバル・スタンダードとの違いを鮮明にするには、日本市場に特有な行動様式を解明する必要があるので、平成12年度においても、日本的ビジネス慣行を分析し、このビジネス慣行との関連において日本企業の会計的選択行動を研究した。フィールド調査はいくつかの産業にわたったが、大きな収穫に結びついたのは百貨店業界と建設業界における取引慣行の研究である。デパート業界にゆきわたっている「消化仕入れ」も、建設業界の下請制度もわが国特有のビジネスシステムであるが、これらは収益計上を意図的に操作するという裁量的な会計行動であり、日本的な会計選択であることが明らかになった。 3.政策的含意と展望:本研究によって、日本企業における会計的選択行動には、外国企業と異なる特徴があることが明確になったが、この特異性は、会計ルールの国際的調和化が一般に信じられているほど簡単ではないことを意味している。市場に公表される会計情報がヒト、カネ、モノの流れを変え、キャッシュフローにインパクトを与えるとすれば、会計的選択行動の日本的特性はまた日本企業における資源配分の効率性と国際的競争力にも大きな影響を与えるものであり、さらにこの影響を特定していく研究が今後の重要な課題になってくる。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 岡部孝好: "日本の建設会社における利益数値制御と収益操作"国民経済雑誌. 182巻2号. 51-68 (2000)
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[Publications] 岡部孝好: "消化仕入れの取引デザイン"会計. 158巻4号. 1-16 (2000)
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[Publications] 岡部孝好: "利益数値制御行動としての持分ブーリンクグ法の適用"会計. 159巻3号. 42-59 (2001)