Research Abstract |
1999年からの2年間において以下のような研究調査を行い,成果を得た。 1.アジア地域における管理会計制度についての文献を総合的に整理し,またアジア諸国の学者と会い,代表的な重要な原資料を収集した。アジアにおける管理会計に関する資料・文献のデータベース化については,「経済学文献季報」,雑誌「会計」を中心に日本の管理会計実務,理論及びアジア太平洋地域の管理会計に関連する文献を1970年から約28年にわたって整理し,文献目録を作成した。 2.収集・整理した資料・データをもとにアジア地域の管理会計の類型化の作業に入り,アジア諸国の会計一般・管理会計の傾向性と地域的な(NIEs,ASEAN,計画経済の国=中国,ヴェトナム等における)管理会計の特殊性を明らかにした。主に管理会計技法の応用とその普及度に焦点をあて類型化を試みたが,それに関連する財務会計制度,経営組織,経営管理システム等にも注意し,経営環境との関係をも明らかにした。 3.原価企画の特殊性をフィードファード管理と製品戦略との統合として捉え,中国,台湾で行われている原価企画の内容と比較検討した。また,総括的ではあるが,アジア地域における経営管理組織やその他の環境要因(経済,政治,文化,宗教等)を考察しながら,アジア地域の管理会計の比較研究を行い,特に日本的管理会計とその他のアジア地域の管理会計との差異を確認し,これらの構造的な特徴を明確にした。また管理会計技法の国際的移転の困難性とその背後にある文化的な問題を解明した。 4.最終的に上記の成果を論文にし,アジア諸国(台湾,シンガポール,タイ,マレーシア)の研究者からのレビューを受けるとともに,その成果を国際的な雑誌に発表し,また引き続き成果を纏める準備を行っている。上記の論文の一部と,文献目録及び収集による現資料は「報告書」に纏め,本格的なアンケート調査を実施するための基礎を形成した。
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