2000 Fiscal Year Annual Research Report
リスク情報システムの監査エキスパートシステムへの接合モデル
Project/Area Number |
11630155
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
堀江 正之 日本大学, 商学部, 教授 (70173630)
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Keywords | コントロール・セルフ・アセスメント / コントロール環境 / ビジネス・リスクの識別と分析 / リスク管理監査 / 監査エキスパート・システム |
Research Abstract |
リスク管理およびその監査のためのツールとして、北米で広く普及しつつあるコントロール・セルフ・アセスメント(CSA)に着目した。CSAとは、ワークショップ方式によって、主要な事業プロセス、ビジネス・リスク、およびリスクに対処するために設計された内部コントロールを対象として、それらを把握し、評価するために用いられる手法である。 残念ながら、CSAは我が国ではほとんど用いられていないため、それと類似するアプローチを採用している会社を対象に面談調査によって情報を収集した。監査エキスパートシステムのモデル構築のための基礎作業として、現実に用いられている手法の詳細な分析を行ったが、それによって得られた主な知見は、以下の通りである。 1. CSAは、コントロール環境の評価、わけてもソフト・コントロール(組織体の構成員の倫理的価値観、経営者の行動様式、内部コントロールに対するアカウンタビリティなど)の評価にきわめて効果的であること。 2. CSAにより、監査人は、業務プロセスの理解が高まるだけでなく、ビジネス・リスクを網羅的に識別し、分析することができること。また、定量的なリスク測定にもある程度の効果が認められること。 3. CSAにより、戦略的レベルのリスクの識別と把握が容易になり、さらには業務プロセス・レベルのリスクが戦略的レベルのリスクへと派生的に連鎖するプロセスを構造的に明らかにできること。 4. CSAは、監査業務の生産性を向上させ、監査サイクルタイムを大幅に縮小することができること。 5. CSAの合意形成手法としての性質に着目すると、監査人の独立性を厳格に考えるとCSAがもつ効果が十分に発揮されないというパラドクスが認められること。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 堀江正之: "情報技術リスクマネジメントの概念的再検討"会計学研究. 第12号. 15-43 (2000)
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[Publications] 堀江正之: "e-監査の2つの視点"税経通信. 55/14. 35-42 (2000)
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[Publications] 堀江正之: "内部監査の新しい潮流-CSAによる内部監査の質的転換-"会計. 158/5. 66-77 (2000)
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[Publications] 日本監査研究学会: "会計士情報保証論-保証業務のフレームワークと会計士の役割-"中央経済社. 185 (2000)