Research Abstract |
EをQ上定義された虚数乗法を持たない楕円曲線とし,pをEの導手の素因子とする.Eに対応して,算術的群Γ⊂PGL_2(Q_p)とp進上半平面上のΓに関する重さ2の保型形式ψを考える事が出来る.簡単のためГをtorsion freeであると仮定すれば,ψはある元1≠γ∈Γに対応するp進Poincare級数として実現できる.もう一つ1≠δ∈Γをとる.δの二つのP^1(Q_p)上の固定点が0,∞となるようにP^1の座標はとるものとする.このとき,L(s,ψ,δ)=Σ_<g∈<δ>\Γ/<γ>>{X(g・β)^<1-s>-X(g・α)^<1-s>}によってL関数を定義する.ここで,αとβはγの固定点であり,δの二つの固有値の比q_δについて,X:Q^X_p/q^Z_δ→1+p^<1+[1/(p-1)]>Z_pは適当なcharacterとする.δとγがΓ/[Γ,Γ]内でproportionalであるときは要修正.(i)L(1,ψ,δ)=0,(ii)d/(ds)L(s,ψ,δ)|_<s=1>=Log_x(<γ|δ>)であることが比較的容易にわかる.ここで,Log_xはd/(ds)X(t)^s=Log_x(t)X(t)^sにより決まるものとし,<|>:Γ/[Γ,Γ]×Γ/[Γ,Γ]→Q^X_pはΓによりuniformizeされるMumford curveのJacobi多様体のp進周期を与えるManin-Drinfeldのpairingである.このL関数は基本的にはP.Schneiderが定義したものであるが,算術的に意味のあるδを与えるrecipeを見い出し,これについてのBirch-Swinnerton-Dyer予想を数値実験をこめて定式化することが主題である. まずδを与えるrecipeを見い出さなければならないが,上記の形をより簡単にした予想を定式化することを試みた.Γ/[Γ,Γ]はPGL_2(Q_p)のBruhat-Tits buildingのΓによる商のグラフのH_1であるから,グラフ上での共通部分を与えるpairing(|):Γ/[Γ,Γ]×Γ/[Γ,Γ]→Zを考えると,ord_p(<|>))=(|)となる.このとき,ヨδ,∀γ 『(γ|δ)=0⇔EのQ rankは正』が期待される.elliptic modularの場合はδにあたるものが0から√<-1>・∞へのpathであるが,我々の場合のδを与えるrecipeはまだ不明である,即ち,保型形式の空間の双対空間の元としては我々のδの存在は保証されているが,それが上記の様な幾何学的な形で(または,定符号四元数環の元として)explicitに表されるかどうかについては不明のままである.
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