Research Abstract |
トロントにおいてAMS講演[S4](一般講演ではなく,Special Session講演に採用されたものである)で発表した内容から説明を始めることにする.この講演では,これまでの研究を通じて開発して来たワトソン法(トロント在住の数学者Steve Watson氏が最初に発見したのでこう呼ぶことにする)を「1つの簡単な構成法」の「無限回の反復」としてまとめて紹介し,現在までに得られた結果と残された問題を提出した.ワトソン法に限らず「1つの簡単な構成法」の「無限回の反復」はフラクタル図形の構成法としては一般的であって,本研究の理論的な根拠もそこに置いている. 一方,トロントAMS Meetingの前後トロント大学に2週間に渡って滞在し,招聘状をいただいたF.D.Tall教授とは,主に理論的な基礎について意見交換及び情報収集を行った.また,帰国直後に得た情報によるとNobeling Universal spaceを3つのシンボル{0,1,^*}(これには分離公理がT_1にもならないような位相を入れる)の可算無限ケの積空間に埋め込めることが証明された[S5]. {0,1}の可算無限ケの積空間が位相的にはカントール集合と同相であることに注意すると,この場合は「距離の入らないような一般的な」空間が我々の研究の基礎付けに成り得るという確信を得る. 更に,[S3]では,本研究で購入したWork Stationとソフトによって計算した,3つのアフィン写像の不変集合として生成されるフラクタル図形512ケすべてのCGの表を完成させた.これは,文献[S2]において大学基礎教育における,学生達の好奇心を喚起する一次変換の1つの新しい導入法として,「8つの簡単な2次の行列を使って表せるアフィン写像のうちから3つだけを使う」ことによって,興味深いフラクタル図形が不変集合として得られることが紹介されていることを受けた研究である. この論文では,いわばテスト画像として,素性のよく分かったフラクタルを彼らの方法ですべて(パソコンに計算させることで)リストアップすることによって,新しい位相不変量を導入するヒントが得られるものと期待している.文献[S2]では触れられていない新しいフラクタル図形として,2つの図形が得られた.これらには,その他の図形と違って「うねり」のようなダイナミクスが感じられる.それらの持つ,他のフラクタル図形との違いを表す適切な(位相不変量とはかぎらない)不変量はまだ見つかっていない. [S1]津田一郎,数学と医学-脳波と脈波のカオス解析をめぐって,数学(日本数学会編集)岩波書店,第51巻\第1号,1999年1月号,91-97. [S2]H.-O.Peitgen, et.al.,Fractals for the Classroom : Strategic Activities, vol.3,Springer-Verlag,1999,ISDN O-387-98420-8. [S3]津田光一,3つのアフィン写像によって生成されるフラクタル図形,愛媛大学工学部紀要Vol.20(2001,掲載決定). [S4]Koichi Tsuda,Variations of topological spaces due to Steve Watson,957th AMS Meeting(講演番号 957-54-36),University of Toronto, Ontario, Canada, September 23,2000. [S5]H.Tsuiki,The Computational Dimension of a Topological Space, preprint (Division of Mathematics、 Faculty of Integrated Human Studies, Kyoto University).
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