1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11640085
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
横田 佳之 九州大学, 大学院・数理学研究科, 講師 (40240197)
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Keywords | ジョーンズ多項式 / 体積予想 |
Research Abstract |
この研究の目的は、結び目・三次元多様体論における緒問題を、量子不変量などの新しい武器を駆使して解決していくことにありますが、本年度の研究ではとくに、最近注目を集めている「結び目の体積予想」に取り組みました。この予想は三次元球面における結び目の補空間の体積と、量子不変量の一つであるジョーンズ多項式との間の、美しくも奇妙な一致について言及したもので、その登場以来現在まで、次々と形を変え一般化されながら、結び目・三次元多様体論に大きな影響を与え続けています。 この研究では、補空間が双曲的な幾何構造を持つ結び目に対して、その補空間の四面体分割を具体的に構成することで、双曲的な幾何構造を決定する方程式を書き下すと同時に、そのジョーンズ多項式の漸近形を与える、積分表示に現れる被積分関数の臨界方程式を書き下して調べた結果、両者が完全に一致する事実を発見しました。さらに上途の被積分関数の絶対値が、方程式の共通解が与える臨界点において、双曲体積と等しくなる事実も確認し、鞍点法による積分値の評価を経由して、予想を肯定的に解決することに成功しました。さらにいくつかの数値実験を行った結果、上述の被積分関数の偏角が、やはり双曲体積と同様に重要な不変量として知られる、チャーン・サイモンズ不変量を与える事実がわかり、体積予想の複素化の正当性や、双曲構造の変形空間との関係が、はっきりと見えてきました。 以上が本年度の成果です。
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