1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11640115
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
藤原 彰夫 大阪大学, 大学院・理学研究科, 講師 (30251359)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
真鍋 昭治郎 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (20028260)
杉本 充 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (60196756)
榎 一郎 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (20146806)
高橋 智 大阪大学, 大学院・理学研究科, 講師 (70226835)
山崎 洋平 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (00093477)
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Keywords | 量子情報理論 / 量子通信路 / 漸近理論 / エントロピー / 操作的容量 / ランダム行列 / 符号理論 / 直交性 |
Research Abstract |
本研究では,量子情報理論の中でも特に漸近理論に基づく操作的方法を確立することを目的とし,(a)種々の量子エントロピーの新しい操作的特徴づけ,(b)量子通信路の同定問題,の2点を具体的課題として設定していた.本年度は特に課題(a)に重点を置き,幾何学的な観点からの量子エントロピーの操作的特徴づけに関する研究を行ってきた.以下,これまでに得られた成果を報告する. pをHilbert空間Η上の有限集合に台を持つ確率測度,p^<(n)>をpのn次iid拡張として定義されるΗ^<【cross product】n>上の確率測度とし,p^<(n)>に従うL^<(n)>個の確率変数X(1),...,X(L^<(n)>)を考える.そして,これらのベクトルが互いにどの程度直交しているかを表す「漸近的直交性」の概念を何通りか定義し,この条件の下でL_nをnと共に増加させたときのlim sup_n logL_n/nの上限(直交性容量とよぶことにする)を調べた.まず,「X(1)が他のベクトルとほとんど直交している」という状況を表す第1種漸近的直交性の下での直交性容量は,pが定める密度作用素ρのvon Neumannエントロピーと一致することが明らかとなり,その系として,Hausladen et al.によるノイズのない量子通信路符号化定理の別証明が得られることも分った.一方、「X(1),...,X(L^<(n)>)が互いにほとんど直交している」という状況を表す第2種漸近的直交性の下での直交性容量は,ρの2次量子Renyiエントロピーと関係することが明らかとなりつつある.とはいえ,現在までに得られている結果は,ややad hocな条件の下で導かれたものであり,今だ満足のいく結果ではない.現在,第2種漸近直交性条件を一様可積分性の観点から見直し,より弱い条件の下での量子Renyiエントロピーの特徴づけを検討しているところである.
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