2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11640132
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
三澤 哲也 名古屋市立大学, 経済学部, 教授 (10190620)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 佳明 名古屋市立大学, 自然科学研究教育センター, 教授 (50106259)
清水 昭信 名古屋市立大学, 自然科学研究教育センター, 教授 (10015547)
宮原 孝夫 名古屋市立大学, 経済学部, 教授 (20106256)
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Keywords | 非線形確率系 / Composition法 / 数理ファイナンス / オプション価格付け / Flemming-Viot過程 / 測度値拡散過程 / Grusin作用素 / Gevrey解析性 |
Research Abstract |
本研究の課題は、何らかの不確定要因を内包する現象の数学モデルとして様々な分野で用いられている確率微分方程式系(確率力学系)のうち、特に陽に解くことが困難とされる非線形系を対象に、系の構造や特性と深くかかわる保存量・対称性の研究を数値・近似解析法の観点、から深化させること、また得られた成果をファイナンスや生物モデルなどに現れる確率系の数値近似解析に適用しその有効性を検証することである。研究代表者・分担者によって本年度得られた成果の概略は以下の通り。 (1)三澤は、確率微分方程式(SDE)の持つ構造や特性を保存するような近似・数値スキームの作成法-いわゆる合成法-を、系の対称性や保存量と深く関わるSDEの係数関数のベクトル場にもとづくLie代数演算を利用して定式化し、その「大局的」な近似誤差評価を与えた。 (2)課題の調査研究の一環として三澤は、「ノイズ摂動を伴う非線形マクロ動学系の数値解析」、「株価等の経済時系列データのwavelet関数系による平滑近似法」について取り組んだ。 (3)宮原は「数理ファイナンス理論」に関連して、原資産価格を幾何レヴィ過程で記述し、その上のオプション価格をマルチンゲール測度に関する相対エントロピーの最小性で決定するモデルを構築し、これがwell-definedであるようなクラスやモデルの推定法を検討した。 (4)清水は「数理生物モデル」に関連して、既約正再帰連続時間マルコフ連鎖の再帰時間のp次モーメントが有限であるための必要十分条件を推移確率が定常分布に近づく速さで記述した。また、測度値拡散過程という枠組みで、有限個の遺伝子を無作為抽出したときの対立遺伝子の平均個数の強移住率極限についての結果を得た。 (5)橋本は「非線形関数方程式の解析法」に関連して、Fourier変換の拡張としてのFBI変換によりGrusinの定義した作用素のGevre解析性を証明した。
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Research Products
(9 results)
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[Publications] Tetsuya Misawa: "A Lie algebraic approach to numerical integration of stochastic differential equations"SIAM Journal on Scientific Computing. 23. 866-890 (2001)
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[Publications] 森 隆一, 三澤哲也: "ウェーブレット関数系による時系列データの平滑化"計算機統計学. 14. 1-14 (2001)
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[Publications] 稲葉敏夫, 浅田統一郎, 三澤哲也: "Nonlinear Macroeconomic Dynamics: A Study of Noise Effects"Technical report of IEICE NLP2001-64. 79-88 (2001)
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[Publications] T.Shiga, A.Shimizu, T.Soshi.: "Passage-time moments for positively recurrent Markov chains"Nagoya Math. J.. 162. 169-185 (2001)
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[Publications] Akinobu Shimizu, Takahiro Soshi: "Positively recurrent markov chains and the stepping stone model as a Fleming-Viot process"Yokohama Math. J.. 49. 89-103 (2001)
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[Publications] 清水昭信: "Random discrete probability distributions derived from subordinators"統計数理研究所共同研究リポート「無限分解可能過程と関連する諸問題(6)」. 146(掲載予定). (2002)
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[Publications] Y.Hashimoto, T.Hoshino, T.Matsuzawa: "Non-isotropic Gevrey Hypoellipticity for Grushin Operators"Publicati ns of R.I.M.S., Kyoto Univ. 38(to appear). (2002)
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[Publications] Yoshio Miyahara: "[Geometric Levy Process & MENM] Pricing Model and Related Estimation Problems"Asia-Pacific Financial Markets. 8. 45-60 (2001)
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[Publications] 宮原孝夫: "レヴィ過程の推定"統計数理研究所共同研究リポート「無限分解可能過程に関連する諸問題(6)」. 146(掲載予定). (2002)