1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11640217
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
酒井 一博 神奈川大学, 工学部, 助教授 (30205702)
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Keywords | 力学系理論 / 分岐 / 擬軌道追跡性 / 公理A / 横断性条件 |
Research Abstract |
本研究では、擬軌道追跡性を満たす力学系を微分幾何学的・位相幾何学的に解明し、その幾何学的特徴付けを利用して力学系の分岐現象を研究しようとするものである。研究代表者自身による昨年度までの研究により、擬軌道追跡性を満たす力学系の内点(C^1位相)に属する力学系の微分幾何学的特徴付けが完了しており、今年度は、その境界に属する力学系の幾何学的構造の解明を中心に研究を進めてきた。しかし、擬軌道追跡性を満たす力学系(境界に属する力学系)の幾何学的研究においては、有力な手段も発見できず、あまり進展が見られていない。しかし、擬軌道追跡性よりも強い、Lipschitz-擬起動追跡性を満たす微分力学系については、その幾何学的特徴付けが可能であることがわかってきた。実際、Lipschitz-擬軌道追跡性を満たす力学系に対して次のことが示された:(a)周期点の双曲性、(b)周期点どうしの安定多様体・不安定多様体が横断的に交わる等々。これら2つの事実は力学系を幾何学的に特徴付けるのに非常に重要であることが知られている。従って、(擬軌道追跡性よりも強い)Lipschitz-擬軌道追跡性を満たす微分力学系に対しては、本研究の研究計画・方法における(1)についてはほぼ達成できたといってよい。Lipschitz-擬軌道追跡性の概念は、特にランダム力学系理論などの研究分野において重要な役割を果たしている。 現在は(a),(b)を用いてLipschitz-擬軌道追跡性を満たす力学系について、その分岐現象の解明を進めている。Lipschitz-擬軌道追跡性の研究方法及び研究成果は、本研究の本来の研究目的である擬軌道追跡性を満たす力学系の分岐現象解明を進める上で重要な糸口となると思われる。
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[Publications] Kazuhiro Sakai: "Diffeomorphisms with the average-shadowing property on 2-dimensional closed manifolds"Rocky Mountain Journal of Mathematics. (to appear). (2000)
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[Publications] Kazuhiro Sakai: "Shadowing properties of L-hyperbolic homeomorphisms"Topology and its Applecations. (to appear). (2000)