2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11640230
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
有本 信雄 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (60242096)
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Keywords | 若い宇宙 / 原始銀河 / スターバースト銀河 / 楕円銀河 / 遠赤外 / サブミリ / 星の生成史 |
Research Abstract |
初年度に於いて構築した星とダストが混在するような銀河のスペクトルエネルギー分布の進化モデルを用いて、本年度は近傍のスターバースト銀河、楕円銀河、球状星団、赤方偏移z〜1近傍の最遠方銀河団、0.55【less than or equal】z【less than or equal】3.80の距離にあるERO(Extremely Red Objects)、サブミリ波で検出された銀河、電波銀河、電波で検出されたサブミリ銀河、ライマンブレーク銀河の形成と進化を考察した。まず、近傍のスターバースト銀河ではダストによるフォトンの吸収と再放射がスペクトルエネルギー分布を決める本質的な役割を果たしていることを明らかにした。スターバースト銀河は原始銀河にその状態が酷似していると考えられる。そのような銀河ではUV領域からサブミリ波領域に渡るスペクトルエネルギー分布への星とダストの寄与を分離することができる。これを使って初めてスターバースト銀河のバースト年齢とダストによる吸収量とを正確に求め、同時に星生成率を正しく評価できることを示した。このモデルを更に遠方の星形成を行っている銀河に適用した結果、2【less than or equal】z【less than or equal】3.8にある電波銀河やサブミリ銀河の星生成率は210^2-510^4M_<【of sun】>yr^<-1>という非常に高い値を持つことを明らかにした。これらの値はこれまでUV光やH_α輝線の強度から求められていた値よりはるかに高い。これはダストによる光の吸収を無視していたためである。このように高い星生成率からこれらの銀河は活動期にある巨大質量の楕円銀河であると結論できる。また、ライマンブレーク銀河の星生成率はせいぜい10M_<【of sun】>yr^<-1>程度であり、質量の小さな楕円銀河であろうと考えられる。一方、EROと呼ばれる銀河では既にダストによる吸収と再放射の兆候がほとんど見られなかった。つまり、EROは星生成活動が終了した静的に進化している楕円銀河である。EROは0.5【less than or equal】z【less than or equal】1.5という比較的近傍に存在していること、更に、最も遠方の銀河団(z〜1.1)では楕円銀河は既に静的に進化していることも今回の研究で明らかにしたので、宇宙が活発に星形成を行っている銀河で満ちている時期と、現在の様に静的に進化している時期の境界はz〜1.5(1-2)にあるのであろうと結論できる。最後に、活発に星形成している原始銀河団は遠赤外-サブミリ波領域において発見できることを明らかにした。
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[Publications] Ikuta,C.,Arimoto,N.: "Seef-enrichment in omega Centauri"Astron. & Astrophys.. 358. 535-546 (2000)
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[Publications] Tamura,N.,Kobayashi,C.,Arimoto,N. 他: "Origin of Color Gradients in Elliptrial Galaxies"Astron.J.. 119. 2134-2145 (2000)
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[Publications] Tanaka,I.,Yamada,T.,Arimoto,N. 他: "A Rich Cluster of Galaxies near the Qnasar B21335+28 at Z=1.1 : Color Distribution and Star Formation"Astrophys.J. 528. 123-138 (2000)
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[Publications] Arimoto,N.,Takagi,T.,Hanami,H.: "Far-Infrared Emission of Intracluster Dust"Proceedings of Mid-and Far-Infrared Astronomy and Future Space Missions (ISAS). (印刷中). (2001)