2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11640235
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Research Institution | National Astronomical Observatory |
Principal Investigator |
杉山 直 国立天文台, 理論天文学研究系, 教授 (70222057)
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Keywords | 宇宙論 / 大規模構造形成 / 構造形成 / 再加熱 / 銀河形成 |
Research Abstract |
本年度は、宇宙の構造形成に関して、次のような研究を行い、論文として発表した。 1.一様等方膨張宇宙での密度揺らぎ、及び速度揺らぎの弱非線形解析を行い、観測量、特にハッブル宇宙膨張からのずれである固有速度の統計的性質を明らかにした。また、その結果を直接的な数値計算法であるN体数値計算と比較し、方法の妥当性について検討した。その結果、弱非線形解析の適用限界が明らかになった。 2.前年度の研究で、銀河形成に伴って生成された星からの紫外線によって、宇宙が再加熱される過程を、銀河形成の準解析的方法によって明らかにした。一方で、その結果生じる電離した銀河間物質との間の散乱によって、宇宙マイクロ波背景放射に直線偏光が生じる。この偏光の大きさ、及び角度分布を評価し、その観測によって、銀河形成過程が明らかにできる可能性について調べた。詳しい解析により、生成される偏光の大きさは、宇宙の再加熱の時期に非常に敏感であることが明らかになり、大きい角度スケールでの偏光を近い将来の人工衛星によって測定することで、その時期が決定でき得ることを示した。また、非常に小さい角度スケールでの、ごくわずかな偏光成分も計算し、銀河間物質のイオン化の過程の違いに対して、その大きさが敏感であることを明らかにした。 3.大規模構造など、物質密度が集中している場所で生じる重力レンズ効果と、イオン化した銀河間物質の運動によって引き起こされる宇宙マイクロ波背景放射の温度揺らぎとの間の相関を求めた。具体的には、2つの観測量間の相関を観測者が見込む角度の関数として計算した。これによって、重力による構造形成と、ガスの熱的進化による銀河形成の間の関係を明らかにすることが可能であることを示した。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Naoki Seto, Naoshi Sugiyama: "Numerical Analyses of Weakly Nonlinear Velocity-Density Coupling"Astrophysical Journal. 558. 505-514 (2001)
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[Publications] Guo-Chin Liu, Naoshi Sugiyama, A.Benson, C.G.Lacey, A.Nusser: "Polarization of the Cosmic Microwave Background from Nonuniform Reionization"Astrophysical Journal. 561. 504-516 (2001)
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[Publications] Masahiro Takada, Naoshi Sugiyama: "Numerical Analyses of Weakly Nonlinear Velocity-Density Coupling"Astrophysical Journal. (in press).