Research Abstract |
θ-項をもつ系の場の理論の解析を格子場の理論により行っている.これまでに2次元CP^2,CP^3モデルについてトポロジカル荷電(Q)分布P(Q)をもとめ,そのフーリエ変換からフリーエネルギーのθ依存性を求めた.その結果θ-分布の平坦化現象が現れることが分かった.これがSchierholzが見つけたθ-分布の平坦化現象と同じだとすると,この現象は1次相転移ではなく,P(Q)のQ=0に含まれる統計誤差が原因であることをわれわれは指摘した. 平成12年度は更にいろいろの格子サイズ,結合定数βについての分析を行いP(Q)のexp(-αQ^γ)型分布のγを調べた.平成12年度はdual pentiumコンピュータを導入し以前に導入したアルファマシンと合わせ解析を行っている.格子サイズはL=10〜L=80の広い範囲について数値実験を行った.β=4.5(弱結合)で(L=10,γ=1.04),(L=20,γ=1.19),(L=40,γ=1.43),(L=60,γ=1.85),(L=80,γ=2.0)とγの値が変遷することが分かった.γ=2は確率論の中心極限定理で理解できるが,γの下限がなぜ1.0であるのか,すなわちγ<1.0が存在しない理由は何か,普遍的,理論的根拠がありそうだが今のところ答を見出していない.これを明らかにするのは今後の課題である.各Qごとについての特徴は共同研究者であるBurkhalterによって詳細に調べられた.一方,強結合では例えばβ=0においてγ〜2であってこれより小さい値はとらないようである.従ってこれらの分析から,種々のβについて,(1)γはγmin(β)<γ<γmax(β)を満たし,(2)γmax(β)はβによらずほぼ2.0であり,(3)γmin(β)はβ依存性を持ち,β=小(強結合)ではγmin(β)=2.0で,β→大(弱結合)とともにγmin(β)→1.0に近づくらしいというのが今年度明らかになったことである. 平成12年10月に米山(佐賀大),新野(佐賀大),Burkhalter(筑波大)を山形に招いてCP^2,CP^3モデル,Fixed Point作用,くりこみ群について討論し,さらに平成13年1月米山を招いて討論を重ねた.
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