1999 Fiscal Year Annual Research Report
加速空洞における同軸導波管型高次モードダンパーとビーム不安定性の研究
Project/Area Number |
11640252
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小関 忠 東京大学, 物性研究所, 助手 (70225449)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊澤 正陽 高エネルギー加速器研究機構, 物構研, 教授 (10168164)
神谷 幸秀 東京大学, 物性研究所, 教授 (20132681)
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Keywords | 電子蓄積リング / 高周波加速 / 高次モード / 高次モード減衰型加速空洞 / パンチ結合型ビーム不安定性 / 高次モードダンパー / SiC吸収体 |
Research Abstract |
東京大学と高エネルギー加速器研究機構(KEK)が共同で開発した高周波加速空洞は、高次モードを減衰させるために、広い口径のビームダクトを持ち、その一部にはSiCの電磁波吸収体が取り付けられている。しかし、この空洞には、ビームダクトの遮断周波数以下の周波数を持つ9つの高次モード(トラップドモード)が存在し、それらはSiCでは吸収されないため、周波数離調法によってビーム不安定の発生を回避する必要がある。ただし、本空洞を周長250m以上の大型の蓄積リングに使用した場合は、周波数離調法では十分に不安定性を避けられない可能性がある。そこで、トラップドモードを直接減衰させる高次モードダンパーの開発を進めている。 本ダンパーは、高次モードの周波数離調用ブロック、ロッドアンテナ、同軸導波管、及びSiC吸収体から構成される。SiCにはビームダクトと同じ材質を採用し、SiCの位置及び形状等は、トラップドモードの周波数帯で反射が十分小さくなるように、シミュレーションにより決定した。その後、実機モデルの詳細設計を行い、(株)東芝の協力を得て実機モデル1台を完成した。このモデルを加速空洞のサイドポートに設置し、低電力による高周波特性試験、及び大電力試験を実施した。高周波特性試験では、本ダンパーが、6つのトラップドモードを十分に減衰させることが確認された。これは、低電力モデルを用いて行った予備試験の測定結果と一致している。さらに、本ダンパーが、加速モードに対しては影響を与えないことも確認された。また、大電力試験では、最大60kWまでの高周波電力投入に成功した。ロッドアンテナ付近の放電や、ダンパー周辺における異常な温度上昇は観測されなかった。このことは60kW程度で運転する場合に限れば、本ダンパーが実用に耐えることを示している。今後は、さらに投入電力を上げ、100kWを達成できればビームテストを実施する予定である。
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