1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11640254
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
荒船 次郎 東京大学, 宇宙線研究所, 教授 (80013415)
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Keywords | CP / バリオン数 / F-Ball / ダークマター / バリオン数分離 / 安定性 |
Research Abstract |
宇宙のバリオン数を説明する新しい考え方に、「バリオン数生成」いわゆるサハロフノ3条件にある「バリオン数の非保存」は持ち込まない考え方がある。それはバリオンと反バリオンを宇宙のビッグバンの過程で分離する機構を持ち込む、いわゆる「バリオン数分離」という考え方である。最近、I.Halperin 等はQCDの相転移の際に一種の非トポロジカルなソリトンである"Fermi Ball"の一種として"B-Shell"の生成を考え、反バリオンはその中に閉じ込められ重いソリトンとなって宇宙のダークマターとなり、バリオンはCPの破れのために"Fermi Ball"に閉じ込められにくく宇宙に放り出され、今の宇宙の通常の物質を作ったというシナリオを考えた。これはバリオン数生成とダークマターを同時に説明する魅力的な考え方であるが、ソリトンの安定性やCPの破れによるバリオン数分離機構の具体性に欠けていることが大きな障害であった。そこで我々は、比較的単純な具体的な模型を導入した。この模型では、その安定性、有限温度の効果、CPの破れによるバリオン数分離機構を具体的に調べることが出来るので、現在、調べているところである。幾何学的な安定性については数値計算により、有限温度の効果に対する安定性については解析的な議論により、安定性に関する新しい制限が得られたことが現在の成果である。
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