1999 Fiscal Year Annual Research Report
次世代線形加速器実験を想定したカロリメータ検出器での光読み出しシステムの研究
Project/Area Number |
11640256
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
森 俊則 東京大学, 素粒子物理国際研究センター, 助教授 (90220011)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三原 智 東京大学, 素粒子物理国際研究センター, 助手 (80292837)
駒宮 幸男 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (80126060)
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Keywords | JLC / カロリメター / 光検出器 / 光電子増倍管 / 光伝送 / 光ファイバー / 時間分解能 / 光増幅率 |
Research Abstract |
平成11年度に以下のことを実施した。 アルミ製暗箱の製作を行ない、この内部に光検出器及び光伝送用の光ファイバー、温度センサー、電源端子からなる装置を組み入れた。これを東京大学素粒子物理国際研究センターOPALグループが既に持っていた光検出器テスト用システムに組み込み必要な改良を行なった。暗箱の外にテスト光発生用シンチレータ、波長変換用WLSファイバー、ゲイン・キャリブレーション用青色LED、高電圧供給装置を配置した。 宇宙線を用いる場合のためにシンチレーターの上下には既存の光電子倍増管と2cm四方のシンチレータからなるトリガー系装置を設置し、データ収集を行なった。光量の違う状態を効率良く得るためにトリガー系とシンチレータの間の角度を変えられるようにしてある。既存のデータ収集用システムは旧式のPCとGPIBからなるものであり、測定スピードに限界があった。このため既存の 200MHzクロックをもつPCと高速CAMACインターフェースを用いてデータ収集スピードを約50倍にすることに成功した。光センサーについては、本研究当初予定していたAPDなどよりもJLCで使う場合に将来性があると考えられる近年開発の進んでいるメタルチャンネル型光電子増倍管を購入し、この特性を調べた。このメタルチャンネル型光電子増倍管は微弱光に対するシグナル利得が現存するAPDに対して予想通り10倍以上高く、ノイズも十分低いことがわかった。また有効断面積もAPDに比べ大きく、JLCで使用する場合のファイバーによる光伝送でのロスを最小に押さえることが可能であるという見通しを得た。時間分解能の測定もTDCを用いて行なった。10GeVに相当する大きなシグナルに対しては分解能は1ns未満でありJLCで必要なバンチ同定能力を有することが確かめられたが、1GeV付近ではまだ改良する必要があることも確認された。これは高速アンプを用いることを検討している。ファイバーの伝送によるシグナル減少率の測定も合わせて行なっている。クリアー・ファイバーを束ねここを通過する光の減衰率を波長550nmにおいて行なった。この550nmの光を発するWLSファイバーとの接合は現在はオプティカル・グリースで行なっているため実際の予想される実験環境とは多少異なるが、10m程度測定器から外に引き出すことが可能であるという見通しを得られたことは今回の重要な結果の一つである。今回測定したメタルチャンネル型光電子増倍管はアノードが単体である。マルチアノードタイプの試験を行ないクロストークを調べることが次の研究課題として上げられる。現在、磁場特性測定用のシステムを構築しているところである。
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