2000 Fiscal Year Annual Research Report
次世代線形加速器実験を想定したカロリメータ検出器での光読み出しシステムの研究
Project/Area Number |
11640256
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
森 俊則 東京大学, 素粒子物理国際研究センター, 助教授 (90220011)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三原 智 東京大学, 素粒子物理国際研究センター, 助手 (80292837)
駒宮 幸男 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (80126060)
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Keywords | JLC / カロリメター / 光検出器 / 光電子増倍管 / 光伝送 / 光ファイバー / 時間分解能 / 光増幅率 |
Research Abstract |
平成12年度には以下のことを実施した。 前年度改良を行なったデータ収集システムの効率をさらに改善するためネットワークを介した分散型データ収集システムを構築した。これによりデータ収集を行なうと同時に並行してデータ解析を実行できるようになり研究を進める上での効率を大幅に向上することができた。 光センサーについてはメタルチャンネルダイノード光電子増倍管(MCD-PMT)を使用して次のような研究を行なった。実際の使用状況と近い条件でのMCD-PMTの特性を調べるため、MCD-PMTを液体キセノンカロリメータに組み込み放射線源からの放射線による信号を読みだした。信号の分布が次世代線形加速器(JLC)実験での使用環境とは若干異なるため、時間計測においては有利な条件での測定となったがMCD-PMTを使用して200psec程度の時間分解能を達成することができた。この値はJLC実験でバンチ同定に要求される時間分解能1nsecを優に上回る値である。 前年度課題として残されていた低エネルギー粒子の入射に対して利得の低さ故に生じていた分解能の悪化を改善するために信号増幅器の開発を並行して行なった。増幅の中心部は、二段型の高速アンプであるSA5204Aを使用し、信号の時間特性を失うことなく20倍の利得を得ることに成功し時間分解能の悪化を克服できる確証が得られた。 またMCD-PMTの磁場中での動作についての研究を行なった。MCDの構造は管軸方向に対して一様でないため電子増幅の過程において軸回りに非対称性が生じる。このため利得にも非対称性が生じるが、磁場に対するPMTの向きを揃えることで問題なく動作させることが可能であることが判明した。
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