2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11640276
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
国友 浩 京都大学, 基礎物理学研究所, 助教授 (20202046)
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Keywords | 平面波時空 / ペンローズ極限 / ハイブリッド形式 / AdS / CFT対応 / 純スピノル形式 / 超ポアンカレ共変性 |
Research Abstract |
本年度は、NS-NS平面波背景時空上の超弦理論を解析した。一般に平面波時空はAdS時空からペンローズ極限をとることにより得られるが、AdS時空とは異なり平坦時空と同様に、弦理論が共形不変な形で厳密に解けるのが特徴である。このことから平面波時空上の超弦理論は、超重力近似を越えてAdS/CFT対応を解析する手段として現在注目を集めており、境界上の共形場理論との関係も少しずつ明らかになりつつある。 一方AdS_3時空はSL(2)群多様対と同相で、そのままでも超弦理論が量子化できるという点で特殊な位置を占めている。従ってこれとペンローズ極限を組み合わせることにより、極限を取ることで超弦理論のスペクトルがどのように推移するかを追跡することが可能になる。 本研究ではペンローズ極限を取った後の平面波時空上の超弦理論について、・時空の超対称性が明白なハイブリッド形式を用いて低いレベルのスペクトルを具体的に求めた。 また、ハイブリッド形式によるAdS_3×S^1時空上の超弦理論の解析についても現在進行中である。これが完成した後には、両者がペンローズ極限においてどのように移り変わるかを解析する計画である。 ・特に、短弦セクターの零質量スペクトルにボソン・フェルミオン非対称性が存在することを発見した。 また、これと平行して純スピノル形式に関連した、10次元の超ポアンカレ共変性が明白な定式化についても解析を進めている。純スピノル形式では、ツイスター変数とも呼ばれるポーズ的なスピノル変数が、純スピノル条件と呼ばれる拘束条件を満たさなければならないため、その取り扱い及び明白な共変性が必ずしも明らかではない。そのため、できればこの拘束条件を課さずに定式化するのが望ましい。これに対して、現在ハイブリッド形式と同様の世界面上のN=2超対称性をうまく用いることでこの困難を回避する方法を模索している。
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Research Products
(1 results)