1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11640282
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
井上 研三 九州大学, 大学院・理学研究科, 教授 (90127978)
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Keywords | ホリゾンタル対称性 / 超対称性 / 大統一理論 / 無限次元表現 / 湯川相互作用 / 階層構造 / 素粒子の世代 / ノンコンパクト群 |
Research Abstract |
ノンコンパクトなホリゾンタル対称性を組み込んだ無限次元表現の場によって構成される超対称大統一理論について、その現象論的妥当性を明確にすることを本年度の研究課題とした。特に、ミニマルなSU(5)の超対称大統一理論にSU(1,1)のホリゾンタル対称性を加えた模型を考察した。 クォークとレプトンのカイラルな3世代を実現し、同時に望ましいヒッグスダブレットを実現するためには、SU(1,1)の自発的破れを引き起こすスカラー場として少なくともSU(5)の24次元表現と1次元表現の2種類が必要であり、しかもそれらはSU(1,1)については同じ大きさの有限次元表現に属さなければならないことが明らかとなった。それらの真空期待値がSU(1,1)のウエイトの異なる成分に生じることが不可欠である。これらの真空期待値と、それらのクォークやレプトンおよびヒッグスとの結合定数との積の相対的な比の値がカイラルな世代の組成および、湯川相互作用の世代間の階層構造に大きく影響を与えることが明らかになった。クオーク、レプトン、ヒッグスおよび上記のスカラー場のSU(1,1〉表現として可能な限り単純化したミニマルな模型について湯川結合行列の詳細な数値解析を行い、クオークやレプトンの質量の階層性および小林・益川行列の階層的構造とCP対称性を破る複素位相が定性的には実現しうることを確認した。定量的には複素位相の大きさおよびレプトンの量の階層性の正確な実現には無理があるが、これは上記の極端な単純化のためであり、もう少し条件をゆるめた模型の解析を今後計画している。これらの研究の成果について現在論文を準備中であり、また平成12年春の日本物理学会(近畿大学)で発表する。
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