2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11640282
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
井上 研三 九州大学, 大学院・理学研究院, 教授 (90127978)
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Keywords | ホリゾンタル対称性 / 超対称性 / 大統一理論 / 無限次元表現 / 湯川相互作用 / 階層構造 / 素粒子の世代 / ノンコンパクト群 |
Research Abstract |
クォーク、レプトンおよびヒッグスのカイラルな世代構造は、世代を支配するノンコンパクトなホリゾンタル対称性の自発的破れの帰結として、超対称性のもとで統一的に理解される。この理解を可能にする基盤は、それらが、ホリゾンタル対称性の「無限次元」表現として実現されることにある。この自発的破れの帰結としてクォークやレプトンとヒッグスの湯川相互作用の世代間階層構造は、自然に実現される。さらにノンコンパクトなホリゾンタル対称性を持った超対称大統一理論において、ヒッグス粒子は、大統一理論の対称性とホリゾンタル対称性の自発的破れの相関により、理論の相構造によって、軽い粒子として安定に実現される。またこの破れの相関が、クォークやレプトンの質量や混合行列等、世代構造にも大統一理論の対称性に基づいて固有の特性を与える。この理論の枠組みの中で、SU(5)の超対称大統一理論を念頭におきつつ、ミニマルな模型について詳細な現象論的解析を進めた。自然界に実現されているクォークやレプトンの質量の大きな階層性および小林・益川行列の特徴的な階層的構造は、定性的にはこの理論で自然に理解できる。 しかし、ミニマルな枠組みの制約を強く要請すると、制限が厳しくなりすぎて、ダウンタイプクォークと荷電レプトンの質量を同時に正確に再現することはできない。またCP対称性を破る複素位相も十分な大きさには実現できない。ミニマルな枠組みは、したがって、ゆるめる必要があるが、それにはいろいろな可能性がある。その方向を模索するためには、新たな情報が必要である。近年実験的に目覚ましい進展をしているニュートリノ物理は、その質量や混合行列について重要な情報を与えるにいたっており、それは世代についてのさらに深い理解への道筋を与えるものと期待される。この観点に立って、ニュートリノの質量行列をホリゾンタル対称性のモデルに基づいて解析を進めてきた。
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