1999 Fiscal Year Annual Research Report
K_L→π^0νν^^-探索研究のためのクラスター認識トリガーの開発
Project/Area Number |
11640285
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
塚本 俊夫 佐賀大学, 理工学部, 助教授 (40217287)
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Keywords | 中性K中間子稀崩壊 / カロリメタートリガー / クラスター認識 / 素粒子実験 |
Research Abstract |
本研究の目的は、K^0_L→π^0νν^^-実験(KEK-E391a)におけるtrigger方式の確立及びtrigger moduleの開発である。中性K中間子(K^0_L)は主に6個の光子に崩壊するが、K^0_L→π^0νν^^-崩壊は終状態が2個の光子なので、必要なデータを効率良く収集するためには、検出器に入射した光子数を数えることのできるtriggerが必要である。 Trigger方式としては、550本のCsI calorimeterを31 blockに分割して、signalのあるblockを数えて光子数とするcounting方式(Block Sum方式)を検討対象とした。この方式は既存のmoduleが利用できるため開発が容易であるなどの利点があるが、光子の認識率が低い可能性があるので、シミュレーションで調べる必要がある。そこで本研究では、検出器の詳細なgeometryを考慮したシミュレーションを行い、Block sum方式を使った時の光子の認識率を求めた。その結果、K^0_L→π^0νν^^-及びK^0_L→2γは約80%、K^0_L→2π^0は約30%、K^0_L→3π^0は約90%の認識率が得られ、我々の要求を満たすことがわかった。現在、実際のcounting moduleの開発に着手している。 また以上の研究と並行して、CsI calorimeterで使われる光電子増倍管(PMT)の真空特性を調べる実験を行った。KEK-E391A実験では、PMTは10^0Pa程度の真空中で使用するが、PMTの放電特性、及び真空断熱の影響を調べる系統的研究は行われていなかった。そこで我々は専用の真空chamberを制作し、PMTの真空特性を調べる実験を行った。その結果、放電を避けるためにPMTの設置領域は10^0Paより低い真空度が必要であることがわかった。また、真空断熱の影響はPMTを冷却することでCsIの温度上昇は3℃程度に抑えられることわかった。現在は、より効率の良い冷却システムの開発に取り組んでいる。
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