1999 Fiscal Year Annual Research Report
中性子の波動特性の研究とその時空対称性測定への応用
Project/Area Number |
11640291
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Research Institution | Fukui University of Technology |
Principal Investigator |
正池 明 福井工業大学, 工学部, 教授 (40022587)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大竹 淑恵 理化学研究所, 播磨研究所, 研究員 (50216777)
河合 武 京都大学, 原子炉実験所, 助教授 (20027436)
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Keywords | 中性子 / 波動特性 / 空間対称性 / 時間対称性 / 中性子干渉 / パリティ / スピン回転 / 陽子偏極 |
Research Abstract |
本年度は中性子の波動特性を調べ、更に低速中性子を用いて中性子共鳴状態におけるパリティ非保存効果の測定と時間反転の破れの測定の準備を行った。 まず、中重核に縦方向に偏極した低速中性子を当てた時の全断面積のヘリシティ依存性の測定を行った。特に^<103>Rh核の中性子共鳴におけるヘリシテイ非保存を中性子エネルギー30〜490eVで測定し、32のp波共鳴中4つの共鳴で大きなパリティ非保存効果を見出した。これによりパリティ非保存の弱い相互作用についての情報を得た。特にパリティ非保存マトリックスエレメントをランダムな可変量として扱う統計的解析によって、弱いspreading widthがおよそ1.4x10^<-7>eVであることを明らかにした。 また^<130>La核を低速中性子が通過する際、中性子の進行方向と垂直な面内で中性子スピンが回転する現象を測定し、その結果がs-p混合模型によるパリティ非保存効果による値と矛盾しないという結論を得た。更に、時間反転効果測定に関連してレザービームによるナフタリン中の陽子を液体窒素温度で偏極することに成功し、それを通過する中性子が偏極することを確認した。この方法を用いると陽子の偏極はほとんどゼロ磁場でも長時間保つ事が出来るので、中性子散乱の広い分野に応用する事が可能となる。 一方、中性子の波動特性の研究に関してはメカニカルアロイングサンプルと呼ればれるNi,Tiの粉末混合状態から合金までの数種類の状態に中性子を当てて試料通過後にどのようなスピン干渉パターンが得られるかを測定した。このデータは目下解析中であるが、完全なアロイになると可干渉性が減るという興味深い結果が得られている。
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[Publications] S. J. Seestrom: "Apparatus for parity-violation study via capture γ-ray measurements"Nuclear Instruments and Methods in Physics Research. A433. 603-613 (1999)
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[Publications] D. A Smith: "Neutron resonance spectroscopy of Rh^<103> from 30 eV to 2 keV"Physical Review. C60. 045502-1-045502-11 (1999)
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[Publications] D. A Smith: "Parity violation in neutron resonances of Rh^<031>"Physical Review. C60. 045503-1-045503-7 (1999)
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[Publications] M. Iinuma: "High Proton Polarization by Microwave-Induced Optical Nuclear Polarization at 77"Physical Review. 84. 171-174 (2000)