1999 Fiscal Year Annual Research Report
電子顕微鏡内その場可視分光法による極微半導体結晶の光学特性の研究
Project/Area Number |
11640316
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大野 裕 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助手 (80243129)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河野 日出夫 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助手 (00273574)
竹田 精治 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70163409)
|
Keywords | 反位相境界 / カソードルミネセンス / 透過電子顕微鏡 / 量子井戸 / 偏光分光 |
Research Abstract |
GaPとInPの単層超格子(CuPt型自然超格子)を形成したGaInP中には、副格子上の原子配列が逆転する領域(反位相境界)が多く含まれる。高い空間分解能(約250nm)の透過電子顕微鏡-カソードルミネセンス(TEM-CL)測定法により、反位相境界では超格子領域と異なる発光特性を示すのが分かった。CL発光強度と反位相境界密度の関係およびCL発光スペクトルの偏光特性を定量的に調べた結果、反位相境界に量子井戸構造が自己形成されると結論された。この研究手法により、極微半導体結晶構造とそれに付随する光学特性を原子のレベルで理解できた。 試料は(001)面から[11^^-0]方向に傾斜したGaAS基盤上に650℃で成長させた、[11^^-1]方向に超格子構造をもつGaInPである。この試料は価電子帯と伝導帯間の電子遷移により1.9eV付近(バンドギャップE_gに相当)に強い発光を示す。この発光と共に、境界密度の高い領域で非常に反値幅の狭い(10〜数meV)4つの新しい発光ピークが観測された。ピークエネルギーはそれぞれE_gより8meV、18meV、24meV、32meVだけ低かった。これらの発光ピークの強度と反位相境界の密度との関係より、E_g-8meVとE_g-24meVの発光は(1^^-11)面上の、E_g-18meVとE_g-32meVの発光は(1^^-10)面上の反位相境界から生じると結論された。発光ピークの偏光特性を詳しく解析すると、反位相境界中の余剰なIn原子層を含む領域がGaInP/InP/GaInP量子井戸構造を形成し、井戸中の軽いまたは重い正孔準位から電子準位への電子遷移によって発光が生じると考えればよく実験結果を説明すると分かった。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] Y.Ohno and S.Takeda: "Mesoscopic characterization of the optical property of antiphase boundaries"Proceedings of Materials Research Society. (掲載受理). (2000)
-
[Publications] N.Ozaki,Y.Ohno and S.Takeda: "Optical properties of Si nanowires on a Si{111} surface"Proceedings of Materials Research Society. (掲載受理). (2000)
-
[Publications] Y.Ohno and S.Takeda: "Opical properties of anti-phase boundaries and Frenkel-type defects in CuPt-ordered GaInP studied by optical spectroscopy in a transmission electron microscope"11th International Conference on Microscopy of Semiconducting Materials. (掲載受理). (2000)