1999 Fiscal Year Annual Research Report
微小な系の量子輸送現象における電子間相互作用の効果と非線形応答に関する理論的研究
Project/Area Number |
11640320
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
小栗 章 大阪市立大学, 理学部, 助教授 (10204166)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石井 廣湖 大阪市立大学, 理学部, 教授 (80047167)
野々山 信二 山形大学, 教育学部, 助教授 (50221487)
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Keywords | 量子輸送 / 電子間相互作用 / Fermi流体 / 摂動論 / 非線形応答 / 非平衡電流分布 / 非平衡Green関数 / 磁場下の輸送現象 |
Research Abstract |
我々は、量子ドット、量子細線等の微小な系の輸送現象に対する電子相関の効果と非平衡電流分布に焦点をあてた研究を行っている。本年度、電子間相互作用の効果については、Landauの準粒子描像を量子輸送現象に適用するために、電子間斥力の摂動展開に基づいた輸送理論の定式化を行った。このアプローチは、基底状態がFermi流体として記述され得る場合に低温で有効であり、原理的には様々な系に適用可能である。絶対零度では、準粒子を記述する1体的な有効ハミルトニアンが、自己エネルギーを用いて微視的に決定され、その散乱係数からコンダクタンスと粒子数の変化が求められる。本年度、具体的な計算例を示すため、微小なHubbard鎖を取り上げ、2次摂動の範囲で準粒子を記述する有効ハミルトニアンを決定し、輸送係数のサイズ依存性、左右のリード線との結合の大きさ依存性等も調べた。現在、有限温度への拡張を進めている。非平衡電流について、我々はこれまでに、電圧が大きく電流-電圧特性が非線形な場合の輸送現象を調べるため、Keldyshの非平衡Green関数に対するrecursion法を整理し、非線形応答領域における電流の空間分布を調べきた。本年度は、磁場の効果を扱うよう計算法を拡張し、非平衡な系の磁場中における輸送的性質を数値的に調べた。磁場がない場合と渦の構造、生成の様子が異なる等の結果を得た。今後、渦の発生の機構に関する微視的な解析を進めたい。また、磁場中で電子の進行方向の異なる両側のエッジに位置するトンネル接合とその間にある電子の進入できない領域からなる系をとりあげ、電子の位相差に起因する非平衡電流の磁場やバイアス電圧に対する振動的振る舞いを調べている。AB効果との関連等をさらに詳細に発展させたい。
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[Publications] A.OGURI: "Transport through a finite Hubbard chain connected to reservoirs"Phys.Rev.B59. B59,No19. 12240-12243 (1999)
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[Publications] A.OGURI: "Perturbation study of the conductance through a finite Hubbard chain"Physica B. (印刷中). (2000)
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[Publications] S.NONOYAMA and A.OGURI: "Spatial distribution of nonequilibrium current in a magnetic field"J.Phys.Soc.Jpn.. 69(印刷中). (2000)
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[Publications] S.NONOYAMA and A.OGURI: "Direct calculation of the nonequilibrium current by a recursive method"Physica B. (印刷中). (2000)