2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11640327
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
田中 慎一郎 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (00227141)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鎌田 雅夫 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 助教授 (60112538)
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Keywords | 固体表面 / 光刺激脱離 / 内殻励起 / シンクロトロン放射光 / 光電子分光 / ZnO / Xe / Si(111)(7x7)表面 |
Research Abstract |
平成12年度においては、ZnO(1010)表面からの内殻励起刺激脱離過程の電子・イオンコインシデンス法および光電子分光法による研究を進めた。また、内殻励起過程が表面でどのような脱励起過程をたどるかという見地から、最もシンプルな系としてXe固体を選び、共鳴光電子分光法により研究した。さらに、半導体表面の光刺激後のダイナミクスの研究のために、2光子光電子分光装置を立ち上げ、Si(111)(7x7)表面についてレーザー光励起による研究を行った。 1)ZnOについて。前年度研究を行ったTiOにおいてはTi内殻励起によってもO内殻励起でも酸素イオンの脱離が観測されたのに対し、ZnOにおいては、酸素イオンの脱離確率は低く、水を吸着させた表面からの水素イオン脱離について実験を行ったところ、O内殻励起においてのみ脱離が観測され、Zn内殻励起ではイオン脱離は起こらないことが分かった。このような結果は、前年度の結果から提唱されたモデルを支持するものである。すなわちTiOのような軽い遷移金属化合物においてはd-p軌道混成を通じた電荷移動が起こり、同時に価電子の組替えが起こることにより酸素イオンが脱離するのに対し、ZnOにおいてはZnのdレベルが全占有されていることからそのような過程が起こらない。 2)Xe固体において、Xe4dレベルを特定の波長で励起すると4d-6p内殻励起子を作る。表面では、正孔の遮蔽効率の変化に対応して異なった波長で表面内殻励起子ができることが観測された。また、この内殻励起子の寿命が固体内部と表面では異なり、表面での寿命はより長いことも示された。 3)2光子光電子分光の装置を立ち上げ、励起源として2.8-3.3eVのフェムト秒レーザーを用い、Si(111)(7x7)表面からの2光子光電子のエネルギー分析を行った。
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[Publications] K.Ozawa,T.Yoshii,T.Noda,K.Edamoto,S.Tanaka and S.Otani,: "Cs Adsorption on ZrC(111) : Photoemission Spectroscopy Study "Jpn.J.Appl.Phys.. 39. 4325 (2000)
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[Publications] Shin-ichi Nagaoka,Shin-ichiro Tanaka and Kazuhiko Mase: "Site-Specific Fragmentation following C : Is Core-LevelPhotoionization of 1,1,1-Trifluoroethane Condensed on a Au Surface and of a 2,2,2-Trifluoroethanol Monolayer Chemisorbed on a Si(100) Surface"J. of Phys.Chem.B. 105. 1554-1561 (2001)
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[Publications] S.Tanaka,S.D.More and M.Kamada: "Observation of the surface core exciton and its decay on solid Xe "J.Electron Spectros.Relat.Phenom.. (印刷中).