1999 Fiscal Year Annual Research Report
量子スピン梯子化合物及び関連物質の高圧下単結晶育成とその物性
Project/Area Number |
11640347
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
東 正樹 京都大学, 化学研究所, 助手 (40273510)
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Keywords | スピン梯子化合物 / スピンギャップ / 高圧合成 / 放射光 / 高圧下X線回折 / 単結晶 |
Research Abstract |
今年度はスピン梯子化合物SrCu_2O_3、Sr_2Cu_3O_5及びスピン1/2ボンド交代一次元反強磁性体(VO)_2P_2O_7高圧相の高温高圧下における反応過程、融解の様子を観察し、得られた情報を元に単結晶育成を試みた。 先ずはスピン梯子と同様にスピンギャップを持つスピン1/2ボンド交代一次元反強磁性体である、(VO)_2P_2O_7高圧相の高圧下X線回折実験を行った。SPring-8のBL14B1ビームラインに設置されたキュービックアンビル型高圧発生装置SMAP180を用いた白色光モードでの測定の結果、3GPaの圧力下、500℃で高圧相への転移が1150℃で融解が起こることが明確に分かった。実験室で3GPa1200℃から10℃/hで徐冷を行ったところ、1mm×1mm×0.1mm程の単結晶を得ることに成功し、X線回折による構造解析、異方性磁化率、ESRの測定などを行った。これらの成果は2本の論文として現在投稿中である。 同様にしてSr-Cu-O系についても高圧下でのX線回折実験で高圧相への転移と融解を観察した。SrCuO_2常圧相とCuOを1:1で混合した物を4GPaの圧力下で昇温したところ、温度上昇に従ってSrCuO_2高圧相+CuO→Sr_2Cu_3O_5+CuO→SrCu_2O_3へと反応が進む様子を確認できた。圧力下での徐冷による単結晶育成過程においては試料と金カプセルの反応が問題となったが、カプセル内にMgOのスリーブを入れ、その中に試料を詰めることで解決した。こうした手法を用い、小さいながらも3本足梯子化合物Sr_2Cu_3O_5の単結晶試料を得ることに成功した。
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[Publications] D.A.V.Griend: "La_4Cu_3MoO_<12> : A Novel Cuprate with Unusual Magnetism"J.Am.Chem.Soc.. 121. 4787-4792 (1999)
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[Publications] Z.Hiroi: "Structural Study of the Quantum-Spin Chain Compound (VO)_2P_2O_7"J.Solid State Chem.. 146. 369-379 (1999)
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[Publications] S.Ohsugi: "Impurity-Induced staggered Polarization and Antiferromagnetic Order in Spin-1/2Heisenberg Two-Leg Ladder Compound SrCu_2O_3 : Extensive Cu NMR and NQR Studies"Phys.Rev.B. 60・6. 4181-4190 (1999)
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[Publications] M.Azuma: "High-Pressure Form of (VO)_2P_2O_7 : A Spin-1/2 Antiferromagnetic Alternationg-Chain Compound with One Kind of Chain and d Single Spin Gap"Phys.Rev.B. 60・14. 10145-10149 (1999)
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[Publications] 齋藤高志: "スピンギャップ化合物(VO)_2P_2O_7高圧相の磁性と単結晶作製"粉体および粉末冶金. 46・9. 1014-1019 (1999)
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[Publications] K.R.Thurber: "^<63>Cu NQR Evidence of Dimensional Crossover to Anisotropic 2D Regime in S=1/2 Three-Leg Labber Sr_2Cu_3O_5"Phys.Rev.Lett.. 84・3. 558-561 (2000)