2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11640351
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
川上 則雄 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (10169683)
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Keywords | 量子相転移 / 準1次元系 / 強相関電子系 / 量子スピン系 |
Research Abstract |
本研究は、準1次元スピン系や強相関電子系における量子相転移現象を理論的に調べることを目的としている。本年度は、以下のテーマに関する研究を行った。 (1)交代磁場中のHaldaneギャップ系:最近、交代磁場中(s=1/2の反強磁性秩序による)でのs=1のHaldaneギャップ系と見なせる物質が実験的に発見された。この準1次元系に対して混合スピン模型を提案し、その量子相転移現象をSchwingerボゾン平均場近似を用いて調べた。得られた結果によりHaldaneギャップの温度依存性等を定性的に説明することができた。 (2)軌道縮退のある1次元電子系の核磁気緩和率:軌道自由度の重要性が遷移金属酸化物で指摘されている。軌道縮退のある1次元電子模型を導入し、ボゾン化法を用いてNMR緩和率の計算を行った。特に、軌道縮退の効果によりNMR緩和率の異常な温度依存性が弱められること、また結晶場分裂により再び異常な振る舞いが誘起されることを示した。 (3)動的に誘起された近藤効果:典型的な電子相関効果である近藤効果の研究は、これまで主に静的な物理量に関して行われてきた。ここでは、光誘起された動的な近藤効果を提案し、共形場の理論を用いてスペクトルの解析を行った。具体例として、1次元量子スピン系の光電子放出を扱い、スピンの大きさが1/2より大きい場合、動的な近藤効果が観測され得ることを示した。 前年度に引き続き、ほぼ当初の予定に従って研究を進めることができた。今後の重要な課題として、フラストレーションを含むスピン系や電子系に関する研究が残されている。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Yoshihiro Takushima: "Magnetic Double Structure for S=1,1/2 Mixed Spin Systems"Phys.Rev.. B61. 15189-15195 (2000)
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[Publications] Akira Kawaguchi: "NMR Relaxation Rate for One-Dimensional Multicomponent Spin-Orbital Systems"J.Phys.Soc.Jpn.. 69. 3055-3062 (2000)
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[Publications] Tatsuya Fujii: "Dynamically Induced Multi-Channel Kondo Effect"Phys.Rev.. B63. 64414-64419 (2001)
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[Publications] Akira Kawaguchi: "Magnetic Properties for the One-Dimensional Multicomponent Spin-Gap System"Phys.Rev.. B63. (2001)