1999 Fiscal Year Annual Research Report
量子梯子型格子物質における新しい量子スピン相の研究
Project/Area Number |
11640355
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
出口 博之 九州工業大学, 工学部, 助教授 (30192206)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高木 精志 九州工業大学, 工学部, 教授 (90112359)
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Keywords | 量子梯子 / スピンギャップ / グリフィス相 / 量子スピン相 / 非フェルミ液体 |
Research Abstract |
量子スピン梯子系物質として知られているCu_2(C_5H_<12>N_2)_2Cl_4(以下Cl系),この物質ClをBrで置換した物質(Br系)およびClとBrをランダムに含む物質Cu_2(C_5H_<12>N_2)_2(Cl_<1-x>Br_x)_4(ランダム系)について磁性や基底状態について調べた。Cl系およびBr系の帯磁率の温度依存や磁化過程から求めた臨界磁場の値は,両系とも梯子モデルでよく説明できる。すなわちBr系の帯磁率もCl系と同様にブロードな極大を有し,低温でスピン-ギャップを反映して,帯磁率がゼロに向かって落ちている。それに対しランダム系の帯磁率は高温域ではCl系とBr系の中間的な値を示しブロードな極大をもつ。しかし,低温域ではPure系と異なりゼロに向かって減少しているようには見えない。これは,ランダム系にすることによりスピン自由度が出現するか,スピン-ギャップエネルギーが減少する傾向があることを示唆する。Pure系は両系とも不純物常磁性と考えられるほぼキュリー則に従う温度依存を示している。ところがランダム系では、帯磁率の温度依存はキュリー則からずれており,特にT<0.4Kで温度依存が強くなり発散する傾向にある。極低温での磁化率の増加は単純な常磁性で説明できない。この結果は梯子系の相互作用がランダムになったために量子グリフィス相が出現しているか,スピン自由度が回復したためラダー間相互作用による長距離秩序相へ転移する兆候と考えられる。
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Research Products
(1 results)