1999 Fiscal Year Annual Research Report
密度行列くり込み群法によるスピンギャップ系の元素置換効果の研究
Project/Area Number |
11640363
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
横山 寿敏 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (60212304)
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Keywords | ハイゼンベルク模型 / スピン ギャップ / 不純物効果 / 非整合相関 / ハルデーン相 / 結合交替 / スピンパイエルス転移 / スピン梯子系 |
Research Abstract |
スピンギャップを示す擬一次元磁性体の代表的なクラス、[1]ハルデーン系(典型物質:NENP)、[2]結合交替系(単斜晶CuNb_2O_6)、[3]スピンパイエルス系(CuGeO_3)、[4]梯子物質(SrCu_2O_3)、を全て包含する基本的一次元ハイゼンベルクモデル[次近接相互作用(パラメーターα)と結合交替(同β)を含む]を用い、密度行列くり込み群法と厳密対角化法を駆使して、不純物をドープする前の純粋物質、及び不純物効果を調べるための計算を行った。重要な成果として、このモデルに対する過去の部分的な研究を統合し全体像を鮮明にした点、[1],[2]の物質群と[3],[4]の物質群の間で截然たる差異がある不純物効果の理解、及び非整合相関の詳細の解明、などである。以下に主要な成果を箇条書きにする。 (1)純粋系(系のサイズL=∞)のα-β空間上で、ギャップ、スピン相関長、ストリング秩序変数などを詳細に調べ、β=1(結合交替が無い場合)とα=∞(二鎖に分離する場合)のとき(スピン液体相)以外は、ハルデーン(スピン固体)相に属することを見出した。(2)非磁性不純物をドープした系(Lが有限の場合)においては、相関長や最低磁気的状態(S^z≠0)のスピン分極の振る舞いが典型的ハルデーン相とスピン液体相近傍のハルデーン相の間で著しく異なる。前者では相関長や分極(磁気励起)はLには依存せず分極は鎖端に局在するが、一方後者では交替磁化が系全体に広がり、その大きさはLの減少に伴って急激に増大する。以上のことから典型的ハルデーン相に属するNENPやCuNb_2O_6はかなり高濃度の不純物をドープしてもギャップの性質を維持し、一方CuGeO_3やSrCu_2O_3などは微量の不純物によって、ギャップが潰れて反強磁性秩序が出現する傾向が理解できる。(3)このモデルにはα-β空間上で、スピン相関が非整合になる領域が予測されていたが、本研究によってその全貌が明らかになった。量子揺らぎによる、実空間と運動量空間での非整合のずれも詳細に議論した。
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[Publications] S.Watanabe and H.Yokoyama: "Transition from Haldane Phase to Spin Liquid and Incommensurate Correlation in Spin-1/2 Heisenberg chains"Journal of the Physical Society of Japan. 68. 2073-2097 (1999)
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[Publications] K.Kobayashi and H.Yokoyama: "Hole Density in Charge Stripes and Effect of Next-Nearest-Neighbor Transfer"Journal of Low Temperature Physics. 117. 199-203 (1999)