2000 Fiscal Year Annual Research Report
密度行列くり込み群法によるスピンギャップ系の元素置換効果の研究
Project/Area Number |
11640363
|
Research Institution | Tohoku university |
Principal Investigator |
横山 寿敏 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (60212304)
|
Keywords | スピンギャップ / ハルデール相 / 結合交替鎖 / スピンパイエルス転移 / 不純物効果 / 非整合相関 / 密度行列くり込み群 / 高温超伝導 |
Research Abstract |
銅酸化物高温超伝導体の擬ギャップや不純物効果との関連を念頭に、スピンギャップを示す擬一次元磁性体について密度行列くり込み群法と厳密対角化法を用いて、主として不純物置換効果を調べた。典型物質である[1]ハルデーン系、[2]結合交替系、[3]スピンパイエルス系、[4]梯子物質、全てを包む一次元模型[次近接相互作用(パラメーターα)と結合交替(同β)を含む]に対し、不純物の無い純粋物質及び不純物効果を調べる計算を行った。主な結果を次に記す:(1)ギャップ、スピン相関長、ストリング秩序変数の挙動から、純粋物質(系のサイズL=∞)はα-β空間上で、β=1(結合交替なし)とα=∞(二鎖に分離)の場合(スピン液体相)以外は、ハルデーン(スピン固体)相に属する。(2)非磁性不純物をドープした場合(Lが有限)は、相関長や最低磁気的状態(S^z≠0)のスピン分極の挙動が、典型的ハルデーン相とスピン液体相近傍のハルデーン相の間で著しく異なる。前者では相関長や分極(磁気励起)がLには依存せず、分極は鎖端に局在するが、後者では交替磁化が全系に広がり、その振幅はLの減少に伴い急激に増大する。前者に属する[1]や[2]の物質群は高濃度のドーピングでもギャップを維持するが、後者の[3]や[4]は微量の不純物によって、ギャップが潰れて反強磁性秩序が出現する、という傾向が理解できる。(3)α-β空間上で、非整合スピン相関の存在が予測されていたが、その全貌と詳細な相図を明らかにした。量子揺らぎによる実空間と運動量空間での非整合度のずれも詳細に議論した。 次に、以上の局在系の成果を基に、密接に関連する電子系(高温超伝導体)の模型に対し、擬ギャップとストライプ構造の変分法による計算を行った。これらの研究は次期の研究で詳しく検討する予定である。
|