1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11640380
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
高野 宏 慶應義塾大学, 理工学部, 助教授 (90154806)
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Keywords | 高分子系 / 計算機シミュレーション / 緩和率 / 緩和モード / 排除体積相互作用 / 流体力学的相互作用 / スリット / レプテーション |
Research Abstract |
いくつかの高分子系に対してシミュレーションを行い、その緩和について次のような結果を得た。 1.排除体積相互作用と流体力学的相互作用を取り入れて、溶液中の孤立高分子鎖のブラウン運動のシミュレーションを行い、その緩和率、緩和モードを調べた。流体力学的相互作用が強い場合の緩和率の挙動が、理論的な予想と合致することを示した。さらに、流体力学的相互作用の強さを変化させることにより、流体力学的相互作用がない場合の緩和率の挙動から、ある場合の挙動への移り変わりの様子を明らかにした。 2.斥力的壁でスリット内に閉じ込められた高分子鎖のモンテカルロ・シミュレーションを行い、その緩和率、緩和モードを調べた。壁に平行な方向に関する緩和率、緩和モードの挙動は、スリットの間隔程度の大きさのブロッブの連なった2次元の排除体積鎖の挙動として理解できることを示した。壁に垂直な方向に関する挙動は、隣り合うブロッブの垂直方向の変位の間に斥力的な相互作用があるとして理解できることを明らかにした。 3.斥力的壁で作られた管の2次元ネットワーク内に閉じ込められた高分子鎖のモンテカルロ・シミュレーションを行い、その緩和率、緩和モードを調べた。緩和率、緩和モードの挙動が、レプテーション理論の予想とほぼ一致することを明らかにした。緩和率のセグメント数依存性の指数が排除体積効果のために変化している可能性について、検討を続けている。 4.斥力的壁で作られた管の3次元ネットワーク内に閉じ込められた高分子鎖のモンテカルロ・シミュレーションを行い、その緩和率、緩和モードを調べた。緩和率、緩和モードの挙動が、レプテーション理論の予想とほぼ一致することを明らかにした。
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[Publications] Katsumi Hagita: "Relaxation of a Polymer Chain Confined in a Slit"Journal of the Physical Society of Japan. 68・6. 2144-2145 (1999)
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[Publications] Yuki Ishida: "Relaxation of a star polymer"AIP Conference Proceedings. 469・1. 661-662 (1999)
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[Publications] Katsumi Hagita: "Dynamics of a polymer chain under geometrical constrains"AIP Conference Proceedings. 469・1. 663-664 (1999)
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[Publications] Hiroshi Takano: "Relaxation mode analysis of a single polymer chain"AIP Conference Proceedings. 469・1. 665-666 (1999)