2001 Fiscal Year Annual Research Report
反物質科学に関与する反陽子、陽電子散乱過程の理論研究
Project/Area Number |
11640384
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
戸嶋 信幸 筑波大学, 物質工学系, 教授 (10134488)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
五十嵐 明則 宮崎大学, 工学部, 助手 (90300855)
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Keywords | 反陽子 / 反物質 / 陽電子 / 原子衝突 |
Research Abstract |
反陽子衝突による水素の電離を扱った理論計算はこれまで全て一中心展開によるものであった。これは、反陽子と電子間の相互作用が斥力であるため束縛状態を作らないことを根拠にして水素側の基底のみを使えば十分と思われていたためである。しかし、反陽子の近傍では斥力のために電子分布が大きく変化を受け、電離断面積にも影響を与えることが期待される。この効果を調べるため、二中心原子基底を用いた大規模緊密結合方程式を解いた。全空間の電子分布で積分した電離断面積にはこの二中心効果がそれほど顕著に現れないが、電子分布の詳細、特に反陽子近傍で電子が排除される効果を表すには二中心展開が必然的にあることが示された。 他方、ほとんどの緊密結合法はスレータにせよガウスにせよ、指数関数的に減衰する、いわゆる束縛状態型の基底を用いて連続状態の代用としていた。入射反陽子の速度が電子の平均速度より遅い低エネルギー衝突では入射粒子が衝突を終える頃には電子波束も大きく数百原子単位まで広がっており、束縛型の基底では表現できなくなる。また、二中心展開にみられた反陽子近傍の微細構造も一体型の基底では表現が難しい。これらの問題を解決するため、区分的な多項式であるB-spline関数を重ね合わせて波動関数を表現する新しい緊密結合法を考案した。この展開は、すべてを数値的に解く直接解法と物理的基底展開による解法の中間的なもので双方の長所を兼ね備えている。0.1eVの低エネルギーで従来の束縛型展開に比べて2割ほど大きな電離断面積がえられ、波束の広がりを取り込むことが重要であることを確認した。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] N. Toshima: "Two- and one-center close-coupling calculations for ionization of atomic hydrogen by antiproton impact"Physical Review A. 64-2. 24701-1-4 (2001)
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[Publications] J. Azuma, N. Toshima, K. Hino, A. Igarashi: "B-spline expansion of scattering equations for ionization of atomic hydrogen by antiproton impact"Physical Review A. 64-6. 62704-1-9 (2001)
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[Publications] J. Eichler, Y. Yoshihama, N. Toshima: "Axial and Landau gauge for a continuum electron in a homogeneous magnetic field"Physical Review A. 65-3(印刷中). (2002)
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[Publications] A. Igarashi, A. Ohsaki, S. Nakazaki: "Cross sections for electron detachment of the hydrogen negative ion and for single ionization of helium by antiproton impact"Physical Review A. 64-4. 42717-1-4 (2001)