2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11640395
|
Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
深尾 浩次 京都大学, 総合人間学部, 助手 (50189908)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮本 嘉久 京都大学, 総合人間学部, 教授 (00174219)
|
Keywords | ガラス転移 / ダイナミクス / α過程 / 超薄膜 / 動的不均一性 / 誘電緩和 / 体積緩和 / 膨張係数 |
Research Abstract |
本年度は,ポリスチレン薄膜(PS)に加え,ポリ酢酸ビニル(PVAc),ポリメタクリル酸メチル(PMMA)にも対象を広げ,PSで得られた結果の一般性を検討すべく,誘電緩和スペクトロスコピー法によるダイナミクス測定を行った.それぞれの高分子について,以下に研究実績をまとめる. PVAc:周波数100Hzでの誘電率虚部のα過程によるピーク温度T_αはPS薄膜の場合とは異なり,Keddieらの求めたガラス転移温度の膜厚依存性の式と同様の依存性を示した.また,12.4kから23.7kの範囲で分子量依存性は示さなかった.この結果より,PVAc薄膜でのガラス転移温度は薄膜になるほど低下し,その膜厚依存性はここでの分子量範囲では分子量依存性を示さないことが期待される. このことはPS自己支持膜の低分子量領域でのT_gが薄膜で低下するが,その膜厚依存性は分子量によっては変化しないという最近のForrestらの結果に対応していると思われる. PMMA:PS,PVAcと同様に40Hzでの誘電損失のα過程によるピーク温度T_αの膜厚依存性を測定した.この結果,PSでの我々の結果と同様に,T_αはバルクからある臨界膜厚までは一定値を取るが,それよりも薄膜では急激な低下を示すことがあきらかとなった.それに対して,40Hzでの誘電損失のβ過程によるピーク温度T_βの膜厚依存性はT_αとは異なり,比較的大きな膜厚から,T_βの低下が観測され,その膜厚依存性はKeddieらの式でうまく再現された.そして,T_αが急減な減少をはじめる臨界膜厚で,T_βの膜厚依存性も大きく変化することがわかった.このT_αとT_βの顕著な膜厚依存性を高分子鎖の閉じ込め・協同運動性の観点から議論した.
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] Y.Tanaka,K.Fukao, et.al.: "Fracture energy of gels"European Physical J.E. Vol.3,No.4. 395-401 (2000)
-
[Publications] Y.Miyamoto,K.Fukao, et al.: "Structure formation of isotactic polypropylene from the glass"Journal of Physical Society of Japan. Vol.69. 1735-1740 (2000)
-
[Publications] K.Fukao,Y.Miyamoto: "Dielectric and dilatometric studies of glass transitions in thin polymer films"Journal de Physique IV. 243-246 (2000)
-
[Publications] K.Fukao,Y.Miyamoto: "Glass transitions and dynamics in thin polymer films : dielectric relaxation of thin films of polystyrene"Physical Review E. Vol.61,No.2. 1743-1754 (2000)