2000 Fiscal Year Annual Research Report
電子・陽電子を用い多原子分子の量子状態相互作用ダイナミックスを探る
Project/Area Number |
11640397
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
季村 峯生 山口大学, 工学部, 教授 (00281733)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
末岡 修 山口大学, 工学部, 教授 (00012378)
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Keywords | 電子散乱 / 陽電子散乱 / CF_3I分子 / CH_3I分子 / 全散乱断面積 |
Research Abstract |
電子・陽電子衝撃によるCF_2I及びCH_2I分子の全散乱過程とPs生成断面積過程についてのダイナミックスの違いと類似について、比較論的知見を得るため、実験と理論研究を実施した。これら2種類の分子はともに同じ分子形であるが、中心に有るC原子と結合している原子がF原子とH原子である点が異なる。これら分子の比較から、F原子群とH原子群による分子の電子状態のみならず、幾何学的空間の広がりの効果が電子・陽電子散乱に与える影響についての知見も得られ、大変興味がある問題を提供している。ここで得られた知見から、分子形は同じでも大きさの異なる原子(群)が分子に結合している場合の一般的規則性についての理解の基礎が得られると考えられる。更にCF_2I分子は、二酸化炭酸や現在広範にプラズマエッチングガスとして使用されているフッ化炭化水素系ガスに比べ、はるかに地球温暖化への影響が少ないとされ、次世代プラズマエッチング用ガスの重要な候補に上げられている。しかし、このCF_2I分子の電子散乱断面積を含む様々な物性についてはほとんど分かっていない。したがって、我々はこの分子の電子状態やダイナミカルな性質の理解をする研究を実施した。実験・理論共同研究で、電子・陽電子衝撃による全断面積、Ps生成断面積の決定を衝突エネルギー0.7eV-600eVの広い範囲で行った。本比較研究から、今まで知られていたCF_2Iの全断面積測定値は全エネルギー領域で20%ぐらい小さいことが新しく分かった。且つ本研究から新しい電子状態の知見が沢山得られた。理論計算から弾性散乱断面積のデータが得られ、これと全断面積データから非弾性散乱断面積の大きさを初めて見積もる事が出来た。結果はアメリカ物理学会誌等に発表した。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] M Kitajima: "Differential Elastic scattering cross sections from CO_2 molecules in the energy range of 1.5 to 100eV"Physical Review A. 61. R414-R420 (2000)
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[Publications] O.Sueoka: "Total and positronium formation cross sections in polyatomic molecules"Nuclear Instruments and Methods. B171. 96-102 (2000)
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[Publications] M.Kawada: "Electron and positron scattering from CF_3I molecules below 600eV"Chemical Physics Letters. 330. 34-40 (2000)
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[Publications] R.J.Buenker: "Theoretical study of the electronic structure of CO_2"Journal of Chemical Physics. 113. 1046-1054 (2000)
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[Publications] M.Kawada: "Vibrational excitation of carbon oxysulfide molecules by positron and electron impacts"Journal of Chemical Physics. 112. 7057-7061 (2000)
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[Publications] 季村峯生: "陽電子と分子との散乱過程における共鳴状態の可能性を探る"日本物理学会誌. 55. 434-438 (2000)
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[Publications] M.Kimura: "Thearetical Consideration of Plasona-Processing Precesses"Academic Press,NY,. 27 (2000)
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[Publications] M.Kimura: "Positron-Polyatomic Molecule Scattering"Americal Institute of Physics. 12 (2000)