2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11640403
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
佐藤 魂夫 弘前大学, 理工学部, 教授 (40111223)
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Keywords | 震源過程 / 初期破壊 / グリフィスの破壊基準 / 地震の始まり / クラック / スローイニシャルフェーズ / 地震波初期フェーズ |
Research Abstract |
昨年度は,S-Kモデルを用い,地震の初期破壊過程のソースパラメータを決定する手法を開発した.さらにこの手法を長野県西部地域で観測された高感度・高サンプリングの微小地震の波形データに適用した.時間ウインドウはP波速度波形の初動から最初のピークに至るまでとした.しかし,この方法には地震波の減衰を示すQ_p値を既知としなければならないことに加え,多くの計算時間を要する難点があった. 今回はパラメータが波形に対して及ぼす影響の違いとグリッドサーチを組み合わせた手法の利用により計算時間の短縮を行い,時間ウインドウをP波速度波形の初動から1周期に至るまでとすれば,Q_p値を未知数としてもソースパラメータを決定できることが明らかになった. 前回と同様の数値実験を行った結果,本手法はSpontaneous ModelとTrigger Modelを判別できる.さらにSpontaneous Modelの場合は初期クラック半径L_oが精度良く決定できる.この手法を長野県西部地域で観測された7つの微小地震(M=0.1〜2.6)に適用した結果,5個の地震はSpontaneous Model,他の2個はTrigger Modelとして判別された.L_oは約3〜9m,最終的なクラック半径Lは約20-70mと推定された.また,P波速度波形の最初のピークから1周期に至るまでの時間の観測波形は,いかなるパラメータを与えても,今回のソースモデルでは再現できないことが明らかになった.これらを説明するためには,破壊の停止の仕方について詳細に検討する必要がある.ソースパラメータとマグニチュード及び地域変化等との関係については,今回解析した地震から相関は見られなかった.
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