2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11640409
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
綱川 秀夫 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (40163852)
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Keywords | 月 / 磁場 / 電子反射法 / 磁気異常 |
Research Abstract |
本年度は、電子反射法による月磁気異常観測の検討を中心におこなった。電子反射法(ER法)サンプリング間で磁場変動がないことを前提している。SELENEは16Hzの高サンプルレートをもって、太陽風中での観測も試みようとしているので、月軌道付近の磁場方位安定度をGEOTAIL観測衛星データによって検討した。16Hzデータを用いて、磁場方位変動を、解析対象期間の平均磁場方位からのずれとして扱い、フィッシャー統計で標準偏差を求めた。ディスコン時を除く期間では、円形に近い分布を示しており、等方的な方位変動と解釈できる。標準偏差の値は、ローブで最も小さい(<2°)。この変動は100km離れた平面で半径2.35kmとなり、80eV・10nTの電子ラーマー半径(約3km)よりも小さい。太陽風静穏時も約4°である。一方、太陽風非静穏時、ディスコン時、アップストリームウエーブ時は15〜30°であった。次に、月軌道付近の磁場方位変動の全体像をつかむために、1994年7月1日〜8月13日の44日間について、毎日午前0時から約1時間分の3秒平均値データを解析した。頻度分布は、10-20゜付近と40-50゜付近にピークをもつバイモーダルの傾向を示す。16Hzデータ解析結果を参考にすると、10-20゜のデータ群は主としてローブ時と太陽風領域静穏時からなると考えられる。40°以上は、太陽風非静穏時、ディスコン時、アップストリーム時、さらにプラズマシートやマグネトシースに入っている期間もあると推測される。これまでの本研究からローブ時と太陽風領域静穏時・非静穏時の連続性は悪くないことを考えると、40°以下の期間で16Hz電子反射法が行えると推測される。この条件の期間は解析全期間の約半分であるが、Geotailの長円軌道を考慮すれば、月1周の約1/3の期間は16Hz電子反射法が可能ではないかと思われる。
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[Publications] 斉藤義文,綱川秀夫,セレーネMAPチーム: "セレーネ衛星搭載月磁場プラズマ観測装置(MAP)"日本惑星科学会秋季講演会予稿集. (2000)
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[Publications] 大内田敦郎,綱川秀夫: "Simulation of the electron refrection method in SELENE project"地球惑星科学関連学会合同大会講演会予稿集. (2001)