2001 Fiscal Year Annual Research Report
地球回転と地球内部の密度不連続・非断熱密度分布・粘性率の研究
Project/Area Number |
11640417
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
中田 正夫 九州大学, 大学院・理学研究院, 教授 (50207817)
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Keywords | 地球回転 / マントルのレオロジー / 密度不連続面 / 変形 / 海水準変動 / 粘弾性 |
Research Abstract |
地球表層の質量再分配に伴う地球内部の変形は,粘弾性応力と浮力のバランスで決定される.当然,Glacial Reboundに関係する極移動や地球回転速度の時間変化は,上部マントルの非断熱密度変化や密度不連続面の応答の情報を含んでいるはずである.この研究において,これらの非断熱密度変化が地球のレスポンスにどのように影響を及ぼすかを定量的に調べ,次数2(波長がほぼ2万kmで地球回転に関係した次数)の変形において最も大きいことを明らかにし,論文として公表した. これらの成果を踏まえ,過去2万年間の氷床融解に伴う地球の極移動の計算プログラムの作成及び極移動の計算を行った.その結果,極移動は670km密度不連続面の変形モード(M1モード)とリソスフェアの粘性率に強く依存することを明らかにした.リソスフェアの粘性率に依存することは,fluid tidal Love number (k_f, t→∞の時のtidal Love number)に強く依存することを意味している.リソスフェアが弾性体のときのk_fは,粘弾性体の時の値に比べ有意に小さい.M1モードの強度をΔk_2とおくと,その強度はΔk_2/k_fで表現される.リソスフェアが弾性体の時のΔk_2/k_fは,粘弾性体の時の値に比べ大きく,M1モードの効果がみかけ上大きく見積もられる.これらの研究により,今まで極移動は下部マントルの粘性率とリソスフェアの厚さに依存し,地球回転速度は下部マントルのみに依存するとされてきたが,本研究によりどちらも下部マントルの粘性率のみに依存することが明らかになった.本結果は現在国際誌(Earth and Planetary Science Letters)に投稿中である.
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[Publications] Okuno, J., Nakada, M.: "Effects of water load on geophysical signals due to glacial rebound and implications for mantle viscosity"Earth, Planets and Space. 53. 1121-1135 (2001)
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[Publications] Okuno, J., Nakada, M.: "Effects of floating ia2 load on geophysical signals clue to glacial rebound"AGU monograph. (印刷中). (2002)