1999 Fiscal Year Annual Research Report
閉塞湖における降下酸性物質の湖沼環境への影響に関する研究
Project/Area Number |
11640425
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
濱田 浩美 千葉大学, 教育学部, 助教授 (60292653)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山崎 良雄 千葉大学, 教育学部, 教授 (10210402)
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Keywords | 湖沼 / 酸性雨 / pH / 水位変動 / 降下酸性物質 |
Research Abstract |
湖沼の水循環の形式は、それぞれの湖沼によって極端に異なっている。殆ど水の交換が行われない湖沼がある一方で、あたかも河川のように水の流通が激しい湖沼もある。水が停滞しやすい湖沼のなかには、湖盆が深い湖沼や、流出河川が無い湖沼があげられる。特に環境汚染を受けやすいのは、流出河川がない湖沼である。本研究でとりあげる「閉塞湖」は流入・流出河川が無い湖沼で、上記の説明どおり最も環境汚染を受けやすい湖沼である。これらの湖沼での汚染の原因は直接的な人為汚染よりも、特に降下酸性物質が問題とされている。近年、酸性雨や酸性霧によって森林が立ち枯れするなど目に見える影響が生じている。年々深刻化する降下酸性物資の増加は湖沼にも現われ始めている。特に、積雪がある地域の湖沼では、冬季間の降雪で全て流域に貯えられる。この時、降下酸性物質も同時に流域に蓄積される。春季融雪とともに流域内の酸性物質が短時間に湖沼へ流入する。この結果、春季に湖沼内部の酸性度が増加し、生態系に深刻な影響をもたらす。 本研究では栃木県日光市の奥日光に位置する切込湖・刈込湖および北海道摩周湖において降下酸性物質が湖沼の水質にどの程度影響を与えているのかを明らかにするため、継続的な観測を行なっている。その第一段階として、それぞれの湖沼に流入する水量、流出する水量の水収支を行なった。また、湖沼の周辺に位置する湧水の採水を行ない、水質の分析を行なうとともに、集水域の降雪、降雨を採取し、分析した。 以上のように、閉塞湖の水収支の解析を行い、これとあわせて流域から流入する酸性物質の物質収支を行い、各湖沼の緩衝能力を求めるために、観測を継続している。
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