2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11640426
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Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
沼口 敦 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 助教授 (30237797)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 彩子 東京大学, 気候システム研究センター, 助手 (30272537)
辻村 真貴 筑波大学, 地球科学系, 講師 (10273301)
杉本 敦子 京都大学, 生態学研究センター, 助教授 (50235892)
山中 康裕 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 助教授 (40242177)
山崎 孝治 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 教授 (70270791)
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Keywords | 安定同位体 / 大陸規模水循環 / 大循環モデル(GCM) / 水収支 / 雲物理過程 / 輸送スキーム / テレコネクション / チベット高原 |
Research Abstract |
本研究では、CCSR/NIES大気大循環モデル(AGCM)を基礎とし、それに水の安定同位体の輸送・分別過程を組み込むことにより、全球規模の水の安定同位体循環モデルを作成した。 その同位体比の再現性を既存の観測データによって検証するとともに、モデルの結果をチベットおよびシベリアで行われた特別観測の結果と比較し、大陸内部での水の循環の変動について議論を行った。 主な成果は以下の通りである。 (1)前年度に開発したフラックス形式semi-Lagrangean輸送スキームを、極の取扱い等の点でさらに改良した。さらに氷雲と水雲の混合した雲における同位体分別効果を改良した結果、寒冷域における同位体比、特にd-excess値の再現性についての改善が得られた。 (2)GNIPデータの解析により、南極半島などにおいて、降水の同位体比にENSOに同期した顕著な年々変動があることを明らかにし、その変動の水収支による解釈と、同位体循環モデルによる再現を試みた。 その結果、降水同位体の変動はENSOからのテレコネクションにともなう大気中の水の南北輸送強度と経路との変動により説明されることが示された。 (3)チベット高原での降水同位体観測結果とレーウィンゾンデデータ、大気客観解析データ、同位体循環モデル等の結果を比較することにより、2週間に一度程度の擾乱通過時に南方から水蒸気が高原に輸送され、静穏時には高原上の局地循環にともない蒸発降水の再循環が繰り返されるという、チベット高原をめぐる水の動きの描像が示された。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Kuwagata, T.,A. Numaguti, and N.Endo,: "Diurnal variation of water vapor over the central Tibetan plateau during summer."J.Meteor.Soc.Japan. 79 (in press) . (2001)
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[Publications] Tsujimura, M.,A.Numaguti, L.Tian, S.Hashimoto et al.: "Behavior of Subsurface Water Revealed by Stable Isotope and Tensiometric Observation in the Tibetan Plateau"J.Meteor.Soc.Japan. 79 (in press) . (2001)
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[Publications] Tsujimura, M., Onda, Y.,Fujiwara, J.and Ito, J. : "Hydrometric and tracer approaches to investigate rainfall-runoff processes in mountainous basins with different geologies"IAHS Publication. 258. 159-166 (1999)